ブルーグラスをベースにしたアメリカーナを展開し人気を博すOCMSが『レメディ』でグラミーを受賞したのが2015年。ブルーグラスでもアメリカーナでもなくフォーク部門での受賞だった。翌年の5月半ばに行われた彼らのショウは50年前のやはり5月半ばにリリースされた音楽史に輝く金字塔『ブロンド・オン・ブロンド』を丸ごと曲順通りにカヴァーするというもの。デビュー当初よりディランへの傾倒を見せていた彼らが、喝采の中マーチングで華やかに登場し得意の高速ブルーグラスを織り交ぜながらも、オリジナルへの敬意を爆発させたようなその演奏には確かにフォークの熱い魂が息づいている。

 


ナッシュヴィルのカラスたちがノーベル・ウィナー、ボブ・ディランを歌う。これは御大のナッシュヴィル録音による歴史的発明『Blonde On Blonde』(66年)を再現したライヴ音源で、自由闊達なアコースティック・アンサンブルがオリジナルの持つ豊かな音楽性を雄弁に語り尽くしていてアッパレだ。バラード系が特に素晴らしく、この演奏でディランにパフォーマンスしてもらいたいとすら思えたほど。いやはや楽しい。