インタビュー

過去は変えられない、自分の人生は自分で肯定する! 黒宮れい擁するロック・バンド、BRATSが見つけた〈私たち〉の居場所

BRATS『アイニコイヨ/脳内消去ゲーム』

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過去を受け入れて、自分の人生を肯定する

――では、もう一曲の“脳内消去ゲーム”についても訊かせてください。こちらはサウンドもメッセージ性もさらに攻撃的になっている印象ですが。

れい「この曲は一見過去をひきずってる歌に見えると思うんですけど、〈そんなことばかり言ってても生きてられないんだよ!〉みたいなことを歌っていて。過去についてグダグダ言ってる人っているじゃないですか。でも、結局は何をしても過去は変えられないし、自分で後悔しても変えられないから、それを受け入れて生きていくことを決意表明してるんです」

――れいさんの気持ちが反映された曲なんですね。

れい「BRATSの歌詞って、森本さんが私の過去の話とか思ってることをまとめて、れいの目線で書いてくれてるんですよ。だから歌いやすいし、感情がスーッと入るんです」

森本「この曲の歌詞は、れい本人のツイートとか、普段彼女が話してる子供の頃の体験とかを聞いて書きました。BRATSの曲では、あくまで〈れいはこういうことを語るのではないか〉というのを日々追求してるんです」

――この曲は映画「スレイブメン」の主題歌でもありますが、その映画の内容に寄せたりは?

森本「これも最初は違う詞が付いてたんですけど。ただ、れいの話と映画の内容とでテーマの重なる部分があったんですね。大まかに説明すると、映画のほうは主人公が過去にいじめられっ子で、その過去との決別がテーマとしてあるんですけど、“脳内消去ゲーム”はれいが説明したように、過去を受け入れて生きていくっていう。それがすごくれいっぽいと思うんですよ」

――なるほど。れいさんにとっての〈受け入れるべき過去〉とは、具体的にどういったものなのでしょうか?

れい「れいは小学生の頃からジュニア・アイドルでグラビアをやってたんですけど、そういうのっていろんな見方があるじゃないですか。児童ポルノがどうこうとかで問題になったり、実際にそういう感じで見られたりもしたし、それも含めて自分のことを軽蔑した目で見たり、批判的な目で見てる人がいるってことも知ってるから。でも、そういう過去は自分で消したいと思っても消せないじゃないですか。そんな時に、これは事実なんだから自分が肯定してあげないと、誰も肯定してくれないと思って。そういうのが(曲に)リンクしてると思いますね。自分の人生なので誰に何といわれようと、自分がいいと思ったらそれでいいんじゃないって」

――……いまめちゃくちゃいいこと言いましたね。

れい「うっそお! マジー!? 言っちゃった(笑)!?」

一同ハハハハハ(笑)!

森本「結構前に(れいの)そういうツイートを見たんですよ。この曲の歌詞はそこからきてます。それとリハか何かの時に、小学生の頃いじめられたようなニュアンスの話をしてたんですけど、それをいじめって感覚はなくて、すごいシニカルに捉えて俯瞰で見てるような話し方をしてたので、たいしたものだなあと思いましたね」

れい「いじめってたぶん、自分がいじめられてるって思ったらいじめだし、自分がいじめられてないと思ったらいじめじゃないんですよ。れいは小学校の頃、友だちひとりもいなかったし、中学校も友だちできなかったし、高校もひとりもいないし(笑)」

あや「いまもいないじゃん(笑)」

れい「LINEの友だち10人もいないし(笑)。だけど別に楽しいから〈あんまり友だちいらなくね?〉って結論なんですよ。だから、いじめ……られてたの、私、もしかして?」

一同:ハハハハハ(笑)!

――そこはれいさんが他人の意見なんて気にしないくらい、自分を強く持ってらっしゃることの表れなんでしょうね。

れい「他人? わりとどうでもいいかな、みたいな(笑)。だって自分の人生なんだもん。どう見られても、どうでもいい」

――その気持ちは、この曲の〈どんな運命だって 嫌われたって/絶対にお前よりは 幸せになる〉という歌詞にも直結しますね。

れい「そうなんですよ。自分の人生なんだから自分が後悔しないように生きたらと思うんですけどね。でも、これはある意味、れいが自己中だから言えることなんですよ。それを森本さんがキレイにしてくださってるんですけど(笑)」

――なるほど。そんなれいさんのことを、メンバーのお二人はどう感じてらっしゃいますか?

ひなこ「いいと思いますよ。バンドってヴォーカルが自己中じゃないとどうしようもないじゃないですか。何も言葉が伝わらないヴォーカリストとか、バンドである意味がないので」

れい「たぶん経験値がないバンドのヴォーカルがこんなこと歌っても何も響かないと思うから。れいが歌うことに意味があるし、リアリティーがあると思うんですけど」

ひなこ「正解!」

――あやさんはれいさんのお姉さんということで、家族としてもずっと彼女のことを間近で見てこられたわけですが……。

れい「でも、あやも同じですよ。これは自分のことではあるんですけど、あやも過去にそういう仕事をやってたりしたから、たぶん同じことを思ってると思うんですよ」

あや「そこは秘密にしておこうよ(笑)」

れい「隠せると思ってたんだろうけどバレバレだから。あやは自分の意見とか思ってることを出さないから、れいが言いますけど。あやだって軽蔑した目で見られたりとか思ってたと思うんですよ。思ってないの?」

あや「思ってます(照笑い)」

れい「そういうのをあやはちゃんと言えないから、れいが代弁してるところもあると思います。自分のことだけじゃなくて、2人とも同じように見られてきたので。だからこういう曲ができるんだと思うんです」

――それがバンドとしての表現の重みや説得力に繋がっているんでしょうね。あやさんの気持ちもれいさんが受け止めて代弁して。

れい「そうですね。れいは勝手にそう思ってるけど」

あや「うん、いつも言ってくれてる」

 

純粋に曲を聴いてカッコイイと思ってもらいたい

――今年の3月29日に行われた再始動ライヴでは、“アイニコイヨ”“脳内消去ゲーム”を含め全6曲が披露されましたが(その映像を収めたDVDがシングルの初回限定盤に同梱)、これらの楽曲も森本さんが手掛けているのですか?

森本「そうです。ただ、いまライヴ映像がYouTubeで公開されている“Pain”という曲には、黒宮れい本人のワードが入っていて。その言葉から自分が全体の詞をイメージしたので、名義上も共作になっています。それと今作のリリース日に行われるライヴで披露する新曲は、ほぼ本人の言葉ですね」

――れいさんはどのように歌詞を書くのですか?

れい「あまり歌詞を書くというイメージじゃなくて、ただ思ったことをブワーッて書いてる感じですね。それを森本さんに投げてます」

――その“Pain”の歌詞は、自分の抱えている痛みについて書かれていると思うのですが、どのような痛みを表現しようとしたんですか?

れい「なんだろう……痛みじゃないんですけど、痛みに近いよくわからない感情というか……わかります?」

――もやもやした感じ?

れい「もやもやというよりも、抉られてるみたいな感じで。表に出る人って消費されるじゃないですか。そういうので消費されすぎちゃったというか……〈黒宮れい〉を削り取られすぎちゃったみたいな感じなのかなあ」

――なるほど。そこはやはり芸能活動をしていないと感じ得ない感情だと思いますし、れいさんやあやさんの居るBRATSだからこそ表現できる部分なのかもしれませんね。みなさんにとっていまのBRATSは、どんな存在なんですか?

ひなこ「なんだろ? 家族でも友だちでもなくて……難しいや。あやとれいは家族だけど」

れい「じゃあ〈切っても切り離せない存在〉は?」

ひなこ「あ、切っても切り離せない存在ですね(笑)」

――れいさんに言わされてるじゃないですか(笑)。あやさんは?

あや「うーん……あっ、自分にとって生きる意味がみつかりました(照笑い)」

ひなこ「やばいやばいやばい(笑)」

れい「ツイートしないと(笑)!」

あや「やめて(笑)。私、ちょっと前までいろいろと死んでいて」

ひなこ「あやは普段こういう場ではあまり言葉で表さないけど、(感情の)起伏が激しいから下のときはかなり下で。でも、3月のライヴが終わったぐらいの頃から、ずっと調子が良くて」

れい「モチヴェーションが上がったんだよね」

あや「そうそう」

――いまは本当に楽しくバンド活動ができているんですね。れいさんは例えばLADYBABYなどでも歌活動をされてますが、それらと比較してBRATSはどんな存在ですか?

れい「自分がいちばん自分を出せる場所ですね。アイドルっていい意味でアイドルらしいことをしないといけないじゃないですか。ファンの人に夢を見せないといけないから、いろんな人の理想とかエゴをぶつけられて成り立つのがアイドルだと思うんですけど。でも、BRATSは誰からエゴを押し付けられても自分のやりたいことを貫き通せるというか。自分の居場所だと思ってます」

――素敵なコメントをありがとうございます。では最後に、今後BRATSとして挑戦したいことや目標を教えてください。

ひなこ「今回ジャケットに顔を出してなかったり、3人のヴィジュアルをあまり表に出してないのは、純粋に曲を聴いてカッコイイって思ってもらいたいからなんです。海外のリスナーで、歌詞がわからないのにれいの歌声を聴いて、その力強さに心を動かされた人がいるという話も聞いて。だから、いろんな人に聴いてもらいたいですね」

――あやさんは?

あや「フェスに出たい」

ひなこ「出たーい! バンドといえばフェスだよね」

――では、最後にれいさん。

れい「いっぱいライヴがしたいのと、アルバムも出したいですね」

――アルバムはもう制作してるんですか?

れい「まだ動いてはないですけど、やりたいですね。持ち歌が7曲しかないので、もっと曲を増やして、聴き応えのあるものを出したいです」

――ちなみに、こんなバンドになりたいみたいな目標はありますか?

れい「うちらは自分たち以外に興味がなさすぎて、そういうのがないんですよね」

ひなこ「たぶん〈黒宮れい〉はどこにもあてはめられないから。ほかのバンドを超えるとかはまだ思ってないけど、まずはそこに並んでいかないと」

れい「うんうん。結局何をやってもどこかのバンドの二番煎じみたいになってしまうから、だったら自分たちで新しいジャンルを確立していければとは思いますね。どこにも属さないようなおもしろいバンドというか、いい意味で変化の激しい、何にでもなれるバンドになりたいです」

 


Live Information

〈リリース記念インストアライブ「BRATSに"アイニコイヨ」〉
日時:6月23日(金)@タワーレコード梅田NU茶屋町店
開演:19:00

日時:6月24日(土)@タワーレコード名古屋
開演:18:30

6月25日(日)@タワーレコード 横浜ビブレ店
開演:19:00

〈Free Live "Will"〉
日時:7月20日(木)
会場:東京・池袋LIVE INN ROSA
開場/開演:18:30/19:00

〈アーバンギャルド Presents 鬱フェス 2017〉
日時:9月10日(日)
会場:東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST
開場/開演:13:30/14:00
共演:アーバンギャルド、大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮)、オーケンギャルド(大槻ケンヂ+アーバンギャルド)、キノコホテル、ミオヤマザキ and more

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