1971年の阿部薫の東北で録音された演奏をまとめたアルバムが発売された。阿部薫の71年の東北での演奏は評価も高く、こういった形で発売されるのは喜ばしいことだ。71年の阿部薫は高柳昌行との共同作業を終えた頃で、傑作として名高い『彗星パルティータ』が録音された73年の直前の過渡期といえる時代だ。収録された曲も“アカシアの雨がやむ時”“風に吹かれて”“恋人よ我に帰れ”などポピュラー・ミュージックからテーマを借りたものが多く珍しい内容といえる。そんな中でもベイシーで録音されたバス・クラリネットによるソロ・インプロヴィゼーションの美しさには息をのんだ。