タイラー・ザ・クリエイターの最新作に参加して認知を広げた、ノルウェーとニュージーランド出身の男女から成るデュオが初作を完成。当初はNYの新たな磁場として注目されるハネムーンに籍を置き、淡い宅録インディー・ロックを鳴らしていた2人だが、その後はカイゴのツアーに帯同。本作ではフォールズやデペッシュ・モード仕事で有名なルーク・スミスをプロデューサーに迎え、エレクトロ・ビートを敷いた“Lovers”や“Money”、80s風ゲートリヴァーブを使った“Someone”、トロピカル・ハウスな“Fire”、アンビエントR&B風の“Baby”など、さまざまな音に挑戦している。そこに失恋をテーマにした歌詞が加わって生まれるのは、心の軋む音までが聴こえてきそうな、チャーチズとユミ・ゾウマの中間を行くアンニュイなポップ・ワールド。〈ファン〉という言葉を嫌う彼らがリスナーを表現したタイトルと同様、人と人との距離を見つめた楽曲群がロマンティックな余韻を連れてくる。