*2020年3月10日追記
〈PUNKSPRING 2023〉出演のおしらせ
2023年3月25日(土)に千葉・幕張メッセで、3月26日(日)にインテックス大阪で開催される〈PUNKSPRING 2023〉にマイ・ケミカル・ロマンスの出演が決定しています。詳細は〈PUNKSPRING 2023〉のオフィシャルサイトをご覧ください。
https://www.punkspring.com/


 

*2020年3月12日追記
〈DOWNLOAD JAPAN 2020〉および大阪公演延期のおしらせ
2020年3月29日(日)に千葉・幕張メッセで開催を予定していた〈DOWNLOAD JAPAN 2020〉と3月28日(土)にインテックス大阪で開催を予定したマイ・ケミカル・ロマンスの大阪公演は、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となりました。振替公演につきましては、現在調整中です。詳細は〈DOWNLOAD JAPAN 2020〉のオフィシャルサイトをご覧ください。
https://www.downloadfestivaljapan.com/ja/news/postponement


 

2019年12月、解散から約6年を経てリユニオンを果たしたマイ・ケミカル・ロマンス(以下、マイケミ)。エモやスクリーモの系譜にありながら、バンドの美学を反映したゴシックな作風で、2000年代に世界中のキッズを魅了してきた。

LAでの再結成ライブを大盛況に終えた彼らだが、すでに世界ツアーの開催を発表。ここ日本でも2020年3月29日(日)に開催される〈DOWNLOAD JAPAN 2020〉へのヘッドライナー出演に加えて、3月28日(土)には大阪公演も開催する。

今回は、長らくバンドを見てきた正真正銘のファンであり、LAでの復活公演も目撃したというライターの宮原亜矢が、リユニオンまでの道程と最新ライブの模様、そしてデビュー以降のマイケミの軌跡をまとめた。 *Mikiki編集部


 

2019年のハロウィンに起きた奇跡

2013年3月22日に、約12年のバンドの歴史に終止符を打ったマイケミ。だが、その直後から沸き上がったマイケミ・ロスは、数年にわたって世界を席巻してきた。印象的だったのは2016年7月20日に彼らのオフィシャル・ツイッターやフェイスブックで“Welcome To The Black Parade”のピアノのイントロと共に〈9/23/16〉という日付、さらに〈MCRX〉というYouTubeのアカウント名を表示したとき。彼らの代表作『The Black Parade』(2006年)発売10年を機に復活か!?と思われたが、結局は同作のリイシューのみ。期待を煽られたファンからの怒りを買う事態に発展した。

その3年後、それでもマイケミの復活を信じてきたファンに追い打ちをかけたのが、2019年6月9日の出来事。ジョナス・ブラザーズのジョー・ジョナスがNYのラジオ番組で、マイケミが彼らの隣でリハーサルを行っていたと発言したところ、バンドのギタリスト、フランク・アイエロが即否定。自分たちの噂を宣伝に利用したことに対しての、怒りに満ちた彼のコメントを目にした我々は、やはりマイケミは終結したのだと肩を落としたのだけど……。 〈奇跡〉 が起こったのは、それからわずか4ヶ月後のことだった。

2019年のハロウィンに突然、バンドのTwitterのアイコンがキャンドルを模したこれまで見たことのないものに変化し、その後にそれがいくつかのパターンへと更新。そして、約6年ぶりのリユニオン、さらに12月20日にLAにあるシュライン・オーディトリアムでのショウを開催することを発表したのだ。われわれファンは、墓場の地下6フィートから一気に雲の上まで吹き飛ばされたように驚いたのは言うまでもない。そんな 〈ハロウィンの奇跡〉から約2ヶ月後、バンドは約束通り、ライブとしては実に約7年ぶりとなるステージへ帰ってきた!

 

LAでの再結成ライブの模様
Photo by Pooneh Ghana

リユニオン公演の大成功によって開いた未来

約6,300人収容の会場で行われるリユニオン公演が、わずか4分でソールドアウトした瞬間、私はあらためてマイケミの復活を望んでいた人々がこんなにいることに驚かされた。公演前日のお昼頃から、当日券を求める人や最前列を目指すファンが会場に詰め掛けるほどで、全米各地からはもちろん、遠く離れたイギリスからこの日のためだけにLAへやってきた強者も。

そんな観衆の熱くたぎった想いを全身に浴びたマイケミの4人は、1曲目の“I’m Not Okay (I Promise)”からフルスロットルで応戦した。開演前までは、4人がどういう出で立ちで現れるかというのも論点のひとつだったが、いざ登場してみると普段着に近い無精髭姿。ファンの期待に応えてゴスなメイクを施すことはもちろん、いずれかの時代のレガシーを重ねることもなかった。オープニングSEが各アルバムのインタールードをミックスしたものだったことを除けば、凝った演出もなかった。久しぶりのライブとは思えないほど、ミスもトラブルもなくスムーズに進行し、観客の熱気も冷めることなく、それを受けて4人もどんどんテンションを高めて行く……。ジェラルドが思わず笑い声を漏らし、「魔法のような夜」と語ったことにも納得の公演だった。

Photo by Mark Beemer

現在彼らは豪州、ニュージーランド、日本、そしてイギリスや欧州、ロシア、北米と各地の公演を発表しているが、フェス出演を除き、ほんの数分でソールドアウト。特にLAでは追加公演を何度増やしても、すべて完売するなど社会現象とさえ言いたくなるほどの熱狂を巻き起こしている。活動終結前から知るリスナーにとっては説明不要の唯一無二なロック・バンドだが、今回の狂騒によって彼らの存在を知った人々も少なくないはずだ。実際、昨年12月のリユニオン・コンサートに足を運んだファンのなかには、それ以前には一度もマイケミを見たことがないというキッズも珍しくなかった。では、どのようにマイケミはモンスター級のバンドになっていったのか。