
終わる世界で愛する人の未来のため抗う者の物語“The Halo of Fallen Sky”
――6曲目の“The Halo of Fallen Sky”の歌詞の背景には何があったのでしょう? 〈Halo〉という言葉がすごく象徴的です。
Kiske「2つありますね。〈Halo〉という言葉からは、光の輪や『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』というゲームに象徴される生命の輝きを連想します。特に配信シングルのジャケットの日輪がイメージに近いですね。この曲は、終焉を迎える世界の中で愛する人の未来を遺すために抗う人間の物語なんです。

あとReNと〈ザ・ヘイロー・エフェクト、どうよ?〉って話もしてたんですよ(笑)」
ReN「彼らがデビューしてすぐぐらいですね。イン・フレイムスとかダーク・トランキュリティーとかが大好きだから、あのメンバーが再び集まるということで『Whoracle』みたいなのが聴きたいって話になるじゃないですか。でも、最初のシングルはそういうイエテボリ系統じゃなかった。
そこでKiskeに電話して、期待してたのはこれじゃないよな、俺が書くわって、そのまま書き始めたのがあのリフやったんです(笑)」
Kiske「他の曲にも言えますが、歌詞的にはアルバムタイトルにもある〈Devote〉という言葉がキーワードです。自分を犠牲にしてでも守りたいものは受け手によって違うと思うんですが、それを重要なテーマにしていて。
特にこの曲はサビでギターのメロディを輝かせつつ、どう日本語の美味しさを失わずに書けるかに挑みました。シャウトで日本語を歌うことに関しても、すごくこだわりがあるんです。影響を受けたのがPALMのToshiさん、SWARRRMのTSUKASAさん、TERROR SQUADの宇田川(浩一)さん。この曲は特にその要素が出てると思います。普通、デスメタルで〈私はあなただけのもの〉なんて出てきませんから(笑)」
宗教、映画、文学などの要素が張り巡らされたKiskeの詞世界
――歌詞からキリスト教的観念も見えてくるんですが、ご自身はクリスチャンなんですか?
Kiske「中学と高校がミッション系だったんです。そこで聖書も読破したんですけど、キリスト教に対して思ってることは基本的にBurden of Despairという別のバンドで歌詞に落とし込んでいます。
僕は宗教という概念には否定的で、信仰はあっていいんですけど、各自が持つべきであって、誰かと共有すべきじゃないと思っていて。なので、色んな宗教の思想と歴史については勉強しつつも、それら全部を混ぜて独自解釈をしています。仏教もモチーフにしていて、例えば“Blissful Another”の歌詞にある〈犀の角のようにただ独りゆく〉という一節は仏陀の言葉から取ってます」
――歌詞も細かく紐解いていくと、かなり掘り甲斐がありますね。
Kiske「自分と同じ人生を歩まないと理解できないぐらい四重、五重に意味を持たせてます(笑)。
曲同士で共鳴させていることもあって、“Lost Millennium”の〈Witness me〉という言葉は映画『マッドマックス フューリー・ロード(怒りのデス・ロード)』から取ってるんです。最初は〈俺の生き様をお前らが見届けろ!〉みたいな戦士として鼓舞するような意味なんですけど。映画の後半になるとニュークスというキャラが出てきて、自分の命を恋に落ちた女性に捧げるときだけ、ぼそっと呟くように〈Witness me...〉と言うんですね。それは〈戦士としての死に様を見てくれ〉ではなく〈あなたのために生きた自分が存在したことを証明してほしい〉という意味だと思ってて。
それと対となるように“Lycoris Immaculate”では〈Witness you〉という言葉を用いているんですね。この曲はReNと共通の亡くなった友人に対して書いてますが、代名詞〈X〉みたいな感じで聴いた人も大切な人を当てはめてほしいです。〈We scream out loud to witness you〉という部分などは、ライブハウスでオーディエンスと一緒に、天にいる人に聞こえるように声を上げて〈お前がここにいたことを証明する〉という感じ書いてます。〈witness〉という言葉一つをとっても英語にはニュアンスの幅があって、そこが面白いです。
この歌詞を書いた後で『マッドマックス:フュリオサ』という『フューリー・ロード』の前日譚を観たんですけど、そこで描かれる関係性も、すごく“Lost Millennium”に当てはまってたんですね。なので2作の映画を観てもらうと、さらに理解が深まると思います」