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異物感を抱えた自分と世界を橋渡しする音楽

――〈星をつぐ人〉というタイトルはどのようにして付けられたんですか?

「最初は〈つきのうみ〉というタイトルにしようと思ったんですけど、“つきのうみ”にすべてを集約することで、他の曲が後ろに下がってしまうのは違うなと思って。〈つきのうみ〉じゃないとしたら、なんだろう?と考えた結果、このタイトルになりました。この本からの引用なんですけど……(と言って、本を出す)」

――ありがとうございます。

「精神病理学者の内海健さんという方の、『自閉症スペクトラムの精神病理:星をつぐ人たちのために』という本からの引用なんです。精神病理学の本なんですけど、自閉スペクトラム症を持った人たちはどういうふうにそこにいるのか?ということを書いている本で。

私自身、病院でASD、自閉スペクトラム症の傾向があると言われたし、かつ、支援学校や支援学級に通っている小中高生の子どもたちを見る放課後等デイサービスでアルバイトをしていたのもあって、人の発達や心理に興味があったんです。大学は途中で辞めちゃったんですけど、心理を勉強していて。そういう中でこの本に出会ったんです。

世界に対する自分の異物感というか……本来、異物感って自分とは別のものに対して抱くと思うんですけど、私は世界に対して自分の異物感が拭えないという感覚が高校生の頃からあって。〈なんか違う、なんかしっくりこない〉という感覚。その感覚を言葉にして見えるようにしてくれている部分が、この本にはいっぱいあったんです」

――この本のタイトルである〈星をつぐ人〉という言葉が、このアルバムや、ご自身の音楽の在り方に相応しかったということですね。

「異物感があってしっくりこないけど、自分は世界に存在している。そういう部分と、世界に自分がフィットしている部分。そのどちらもある中で、橋渡しをしていく。違和感を解釈して翻訳したり、ときに翻訳せずにそのまま曲や言葉に落とし込んでみたり。さっき言った〈感覚に圧倒される〉というのもそうですけど、そんな中で作った曲たちが、異物感を抱える自分と世界の間に生まれていく……音楽が、自分と世界の橋渡しになっている現実が自分にはあるように感じていて。感覚に圧倒されて歌を書く自分、友達といるときに思ったことを歌に書く自分……そうやって生まれる歌が、世界と自分の間に挟まっているような認識があるんです。

そういうふうに自分は世界に存在しているという思いで、しっくりこないまま世界にいるさまも含めて、〈星をつぐ人〉という言葉を借りてタイトルにしました」