riko niikawaによるソロプロジェクト〈ゆうさり〉が、1stフルアルバム『星をつぐ人』を完成させた。ゆうさり名義では、これまで『由来』と『ほとり』という2作のミニアルバムをリリース。その両方をひとり宅録で作り上げてきたゆうさりだが、今作は佐藤日向子(ベース)、椿三期(ドラムス)というふたりのプレイヤーと共に作り上げたバンドサウンドによる作品に仕上がっている。まるで穏やかに眠る獣の毛並みを撫でているような、激しくも滑らかなバンドの演奏が素晴らしい。猛々しさと静けさ、ダイレクトさと品性と併せ持つ、その佇まい自体があまりにも稀有なアルバムである。
People In The Boxやthe cabsといったロックバンドに影響を受け、そこからharuka nakamuraやCuushe、さらにPredawnや君島大空といったフレキシブルな活動を行うソロミュージシャンに感銘を受けてきたという、ゆうさり。その柔軟な音楽性と活動スタンス、そして繊細でありながら逞しさも感じさせる心の姿は、アルバム『星をつぐ人』をきっかけにさらに広い世界で、たくさんの星々と出会うことになるだろう。
以下のインタビューでは本人に、本作『星をつぐ人』について話を聞いた。ゆうさりの音楽が描き出す様々な光――その多面的で肯定的な輝きについて、じっくりと語ってもらった。

より多くの人に届けるためのバンド録音作
――1stアルバム『星をつぐ人』、素晴らしかったです。僕は昨日マスタリング済の音源を聴かせていただきましたが、出来立てほやほやですか。
「ほやほやです(笑)。制作期間がかなり長かったんですよね。最後にメンバーみんなでレコーディングしたのが今年7月なんですけど、去年7月にもアルバムのレコーディングはしていて。今年の1月には『ほとり』もリリースしているし、別の時空を行き来しながら作っていた感じがします(笑)」
――ミニアルバム『ほとり』と同時進行で制作が進んでいた時期もあるんですね。今作『星をつぐ人』は、1年前に想定していたものと、完成したものを比べたとき、合致する部分は多いですか? それとも、遠いところに来た感じがしますか?
「いい意味で、すごく変わりました。そもそもは宅録音源と合奏で録ったものをミックスして一つの世界観を作ろうとイメージしていたんですけど、阿部さん(本作のリリース元であるレーベルAPOLLO SOUNDSの代表・阿部淳)に〈全部バンドで録っちゃえば?〉と言われて。インタールードだけは自分で録ってミックスも自分でしているんですけど、それ以外はバンドで録りました。おかげで、強さのあるものになったと思います」
――バンドで録るとなったときに、ゆうさりさんが目指したバンドサウンドとはどのようなものでしたか?
「自分が今まで聴いてきて好きだったバンドの方向性が明確にあって。シンプルであることや、ダイナミクスが豊かであること――繊細な部分はどこまでも繊細に機微を表しているか、逆に大きくなる部分は天井の部分がどれだけ高いか。そういう部分を意識しました」
――好みのバンドサウンドを奏でているアーティストというと、具体的にどんな人たちが思い浮かびますか?
「Predawnのバンドセットの録音がすごく好きです。あとはPeople In The Boxとかthe cabs、10代の頃にはリーガルリリーや羊文学、カネコアヤノさんに衝撃を受けました。その人たちが聴いてきたバンドも聴きましたね。それにクレイロやサッカー・マミー、フィービー・ブリジャーズ、最近だと、山二つというバンドのアレンジや全体的な空気感に衝撃を受けました」
――改めて、ゆうさりさんにとって〈バンドだからできること〉とはどのようなものですか?
「生身の人間がベースを弾いてくれたり、ドラムを叩いてくれたりすることは、思っているよりすごいエネルギーを持っているなと思います。自分が映したかった景色をそのまま音に変換できるのは宅録で、そこにも気持ちよさはあるけど、やっぱりバンドじゃないと行けないところはあって。バンドだと映せる景色のレンジが広がるし、連れて行ってくれる場所が遠くなったり、広くなったりするイメージがあります。私はシガー・ロスが好きなんですけど、あの音楽はひとりだと作れないと思うんです(笑)。人が関わるって、すごいエネルギーですよね。
実際、今回のアルバムをバンドで録ったことで次のステップに進めた感じはありますし、先のことはまだわからないけど、今までひとりで作ってきた音源より、このアルバムは広いところや多くの人のもとに連れて行ってくれるんじゃないかと思います」
――今作が次のステップへ行けるものであってほしいというのは、制作されるうえで考えていたことですか?
「そうですね、ひっそりやりたいとは全然思っていなくて。パブリックイメージと自分の意志が嚙み合っていないところにもどかしさを感じていた部分もあったんです。より広い場所に行きたいし、より多くの人に届けたい……その素直な思いはアルバムに託したので、そういうところに連れて行ってもらいたいですね」

〈感覚に圧倒される〉経験から生まれる曲たち
――実際、新しい場所に行こうとする思いや、聴き手に対して開かれたものであろうとする意志は、今作の収録曲たちから強く感じました。ここに収録された楽曲は、アルバム用に作られた曲たちですか?
「そういうわけではなくて、たとえば“ほころび”という曲は16歳頃からあった曲なんです。なにかのはじまりっぽい感じは作ったときから感じていたし、よくライブでも1曲目にやっていた曲で。
それに、“ひかり”と“つきのうみ”も少し前からありました。2019年か2020年頃、ゆうさりはソロプロジェクトとしてやっていって、別名義のバンドを組もうかと悩んでいた頃があって。その頃に〈とにかくバンドでやる曲を作ってみよう〉と思って作ったのが“つきのうみ”です。個人的にすごく大事な曲です。
“ひかり”は、クリスマスの曲を作りたくて。妹の通っていたのがキリスト教の幼稚園で、私が小学校3年生だった頃ですかね、妹の幼稚園でクリスマスの時期にキャロリングというイベントがあったんです。みんなで白いケープを着て、町中を歩いて歌を歌うっていう。私は違う幼稚園に通ったので、それが美しいなと思ったし、羨ましいなと思って。その景色に当てて作ったのが“ひかり”です。弾き語りでもやっていた曲ですけど、ずっと頭の中にはバンドアレンジのイメージが明確にありました」
――“ひかり”を作ったのはいつ頃なんですか?
「2020年頃です。今回のアルバムは結構前からある曲が多いんですよね。“冴える朝(Interlude i)”と“涙の港(Interlude ii)”は、それぞれ曲順の次にくる曲を説明したくて作った曲です。“ひかり”と“つきのうみ”は大事な曲なので、導入を前に持ってくることで、気持ちよく景色に入っていくことができればいいなと。
“うろこ”は、三期(ドラムの椿三期)と一緒にお家でコラージュを作ったり録音をしたりして遊んでいたときに作った曲ですね。そのときはキャッチーな曲を作りたいという思いに燃えていたんですけど、運よく、キャッチーな曲ができました(笑)。
“汐”はライブの導入やアルバムの1曲目になるような曲が作りたいと思っていたんですけど、ROTH BART BARONの『極彩色の祝祭』の1曲目の“Voice(s)”という曲に衝撃を受けて〈こういう曲を作りたい〉と思ったのも大きかったです。あと『この世界の片隅に』という漫画の1巻の最初の方の景色がすごく綺麗で、そのイメージにもなぞらえて作った曲です。
“幽霊”と“春の星”は、他の曲と並べたときに〈ここにどういう人がいたらいいかな?〉ということを思いながら作りました。明るめで、可愛らしさがある曲が作りたくて。どちらも友達と遊んでいるときの景色を思い出しながら書いた曲です」
――16歳の頃に“ほころび”を作られた頃のことは覚えていますか?
「覚えています。その頃、うつ病になって高校に行けなくなっちゃったんです。異様に重たい体を運びながら通学路を歩いていたとき、寒い時期で、異様に空が高くて、異様に月を白く感じて。そういう感覚に圧倒された日があったんです。〈感覚に圧倒される〉というのは、自分の中で大事なことなんですよね。辛いことでもあるんですけど。
それをずっと覚えていて、〈曲を作ろう〉となったときに、AとEの単純な解放感のあるギターのコードと、別で書き溜めていた歌詞で作りました。目から入ってきた景色や感覚を曲にした感じです。そのときの心理状況も含めて、自分にとっては思い出に残っている曲ですね」
――〈感覚に圧倒される〉ということは、今でも曲作りの源泉になっていると思いますか?
「そうですね、自分の中で大きいものだと思います。私は感覚過敏の特性があるんですけど、景色にしても、人とのかかわりにしても、一つひとつの体験に圧倒されることは大きいです。
そういうふうになにかを感じたときに、それをiPhoneに書き溜めておいて、寝る前に歌詞に組み上げていくんです」

ドラマー椿三期とベーシスト佐藤日向子との合奏
――今作で演奏されている佐藤日向子さんと椿三期さんのおふたりは、ゆうさりさんの歌の神秘性を殺すことなくより大きなものに変えていくような素晴らしい演奏を披露されていると思うんですけど、どのように出会ったんですか?
「三期のほうが出会ったのは先なんですけど、君島大空さんが私のことを三期に教えてくれたんです。その頃、三期は(君島大空 合奏形態のメンバーである)石若駿さんのローディーをやっていて、周りに同世代で音楽をやっている人がいなかったみたいで。
たしか、インスタをフォローしてくれたんですよね。それで〈一緒にスタジオに入ってみませんか?〉とDMをしてみて。最初に会った日のことは忘れもしないんですけど……約束の時間に全然来なくて、電話にも出てくれない。結局、5時間くらい遅刻してきたんですよ(笑)」
――(笑)。
「でも〈まあいっか〉と思って(笑)。そこから新宿に移動してコメダ珈琲でお喋りをしたんですけど、〈面白いなあ、この人〉と思いました(笑)。全然、嫌な気分にならなかったんですよね。
そこからしばらして一緒にスタジオに入ったんですけど、三期のドラムに感動しました。その頃ドラマーを探していたんですけど、みんな音が大きくて困っていたんです。だからといってビートだけ叩いていてほしいわけでもないし。そんなときに三期の流動的な、いい意味で毎回同じことができない、生きものみたいなドラムに出会ったんですよね。
三期とは違う言葉で同じことを言わんとしている、みたいな瞬間が結構あって。一緒にやれるのが楽しいし、なにより自分の曲を純粋に好いてくれていることが、掛け替えなくありがたいことだと思っています」
――佐藤日向子さんは、4ピースバンド・くぐりのメンバーとしても活動されていますよね。
「日向子さんは、渋谷のLOFT HEAVENであった幽体コミュニケーションズのマネージャーさんの企画で、幽コミと、ながいひゆさんとFoodsさんと私でライブをしたとき、くぐりの和田(知久)さんと日向子さんが観に来てくれていたんです。ライブが終わったあとに、ふたりがキラキラした目で私のペダルを見に来てくれて(笑)。そこで、くぐりのことを知って、好きになって聴いていたんです。
それから三期と〈合奏のメンバー、どうしようね?〉と話しているとき、〈日向子さんは?〉と思ったんです。〈カッコいいけど、サポートもいっぱいやっているし、忙しそうだよね……〉って三期と相談していたんですけど(笑)、オファーをしたら〈やりたい〉と言っていただけました」
――アルバムのレコーディングの空気感はどんなものでしたか?
「まず三期が遅れてきます(笑)」
――(笑)。
「イライラすることはないですけどね(笑)。向さん(本作のミックスとマスタリングを手掛けた向啓介)が優しくて。レコーディングって時間に追われるし、でも妥協もしちゃダメというピリピリしやすい環境だと思うけど、向さんがそこをコントロールしてくださいました。
日向子さんは、自分がやることに責任を持って粛々とやってくれる素晴らしい方ですね。三期は、毎テイク全然違うことをやっています(笑)。そんなふたりと一緒にベーシックを録ってもらい、それを私が聴いて判断するんですけど、〈もう1回かな〉と思うときは大体みんなもそう思っているし、和やかに、かつこだわりながら進んでいきましたね。私のギターは大体が家で録ったものをリアンプする形で作ったんですけど、リアンプの日は向さんとマンツーマンでやりました。日向子さんと三期は人柄も好きなので、一緒にやれて本当にありがたいなと思います」

異物感を抱えた自分と世界を橋渡しする音楽
――〈星をつぐ人〉というタイトルはどのようにして付けられたんですか?
「最初は〈つきのうみ〉というタイトルにしようと思ったんですけど、“つきのうみ”にすべてを集約することで、他の曲が後ろに下がってしまうのは違うなと思って。〈つきのうみ〉じゃないとしたら、なんだろう?と考えた結果、このタイトルになりました。この本からの引用なんですけど……(と言って、本を出す)」
――ありがとうございます。
「精神病理学者の内海健さんという方の、『自閉症スペクトラムの精神病理:星をつぐ人たちのために』という本からの引用なんです。精神病理学の本なんですけど、自閉スペクトラム症を持った人たちはどういうふうにそこにいるのか?ということを書いている本で。
私自身、病院でASD、自閉スペクトラム症の傾向があると言われたし、かつ、支援学校や支援学級に通っている小中高生の子どもたちを見る放課後等デイサービスでアルバイトをしていたのもあって、人の発達や心理に興味があったんです。大学は途中で辞めちゃったんですけど、心理を勉強していて。そういう中でこの本に出会ったんです。
世界に対する自分の異物感というか……本来、異物感って自分とは別のものに対して抱くと思うんですけど、私は世界に対して自分の異物感が拭えないという感覚が高校生の頃からあって。〈なんか違う、なんかしっくりこない〉という感覚。その感覚を言葉にして見えるようにしてくれている部分が、この本にはいっぱいあったんです」
――この本のタイトルである〈星をつぐ人〉という言葉が、このアルバムや、ご自身の音楽の在り方に相応しかったということですね。
「異物感があってしっくりこないけど、自分は世界に存在している。そういう部分と、世界に自分がフィットしている部分。そのどちらもある中で、橋渡しをしていく。違和感を解釈して翻訳したり、ときに翻訳せずにそのまま曲や言葉に落とし込んでみたり。さっき言った〈感覚に圧倒される〉というのもそうですけど、そんな中で作った曲たちが、異物感を抱える自分と世界の間に生まれていく……音楽が、自分と世界の橋渡しになっている現実が自分にはあるように感じていて。感覚に圧倒されて歌を書く自分、友達といるときに思ったことを歌に書く自分……そうやって生まれる歌が、世界と自分の間に挟まっているような認識があるんです。
そういうふうに自分は世界に存在しているという思いで、しっくりこないまま世界にいるさまも含めて、〈星をつぐ人〉という言葉を借りてタイトルにしました」

〈お婆ちゃんになってもできるか?〉という価値判断
――“ひかり”という曲もありますけど、ゆうさりさんの曲には〈光〉という言葉がよく出てきますよね。星もまた光を放つものだと思うんですけど、〈光〉がご自身の曲によく表れる理由はなんだと思いますか?
「視覚的に飛び込んでくるものは、自分にすごいインパクトを与えてくるなと思います。素直に綺麗だなと思うし、ちょっと考えてみると、この世で見えているものって全部光の反射だから、〈すべてだ〉とすら思うし。〈光〉という言葉は口触りもいいし、つい使ってしまう、でも大事なものですね」
――〈ゆうさり〉というお名前にも夕方の光のようなイメージはありますよね。
「そうですね。青葉市子さんのエッセイを読んでいたら〈ゆうさり〉という言葉が出てきて、そこから借りてきたんですけど。自分の本名よりも大きなものをやりたいという気持ちがあったんです」
――ゆうさりさんの描く光は、自然光的というか。ネオンのような光ともまた違うものを感じます。
「そうですね(笑)」
――朝から夕方にかけての太陽が移動することで生まれる〈時間の変化〉としての〈光の変化〉とか、夜になっても見える星や月の光とか。そういうものを音や言葉を通して描かれている感じがします。ゆうさりさんの音楽に触れていて思うのは、とても肯定的な音楽だなということなんです。時間が流れていくことや、人がそこにいること、光によって物事が照らし合わせられることを肯定しているような感覚があるなと思うんです。
「たしかにイライラはしていないですよね(笑)。……曲を作るうえで、やりたいこととやりたくないこと、できることとできないこと、それぞれあると思うんです。私のやりたいことは〈ずっとある曲〉を作ることで。普遍的なものというか、〈お婆ちゃんになってもできるか?〉ということが価値判断にあるんです。
逆にやりたくないことは……あまりないけど、〈ずっとはできないだろうな〉とちょっとでも思うような曲は、作るのをやめちゃうんです。恥ずかしくなっちゃうので(笑)。
じゃあ、そのふたつを基準に置いておいて〈自分にできることはなんなんだろう?〉と思ったとき、自分の感覚から影響を受けて曲を作ることができるんです。さっきも言ったように綺麗だなと思った感覚とか、友達といたときの感覚とか、そういうものを曲に書いているから、肯定的なものになるのかなと思います。ある意味、受け身ではあるんですけどね。
そんな中で〈自分にできないことは何かな?〉と思うと、感情が先立つ音楽が全然書けないんです。〈私はこれに怒っています〉とか〈私はこれが悲しいです〉とか、そういうものを曲に持って行くことができない。悲しければしばらく寝込むし、怒っていたらイライラして寝るし(笑)。そこをあまり曲につなげることができないんです」
――感情と音楽に距離があるんですね。
「感情とまだあまり上手く付き合えていない感覚があって。〈曲にするまでもないでしょう?〉と思ってしまうんですよね。嫌なことがあったら人と話して解決を図るべきだけど、〈あのときの、あの景色がすげえ綺麗だったんだよ!〉ということは、人に話しても仕方がないことだったりするじゃないですか。そこにある感覚を、自分のしっくりくる形に落とし込みたいというエネルギーが生まれるから、曲を作っているのかもしれないです。
自分がそういう人間なんだからこそ、感情が先立って作られたものに触れると〈エネルギッシュで素敵だな〉と思うんですけどね。人の心を、スピード感を持ってサッと惹きつけるものはそういうものだと思うし。それが自分にできないのはコンプレックスだし、それが理由で人に通り過ぎられてしまうことは悩ましく思っていて。
でも、それが難しくても、一人ひとりの時間に対して自分の音楽があって、その人の綺麗だと思ったことやグッときた感覚に自分の音楽がハマったら嬉しいことだと思います。私はそういう感覚を音楽から受け取ってきて、助けられてきた部分が大きいので。なので、私の光の時間や景色に対して肯定的な印象を持ってもらえたのなら、嬉しいなと思います」

森絵都「つきのふね」のシーンに由来するジャケット
――今日はもう1冊、本を持ってきてくださっていますよね。その本は?
「これはジャケットの由来になった本なんですけど、森絵都さんの『つきのふね』という小説なんです。10代の葛藤が描かれている小説なんですけど、小学生くらいの頃から読んでいて、すごく好きで。この小説の最後に、水たまりにバレッタが船のように浮かんでいるシーンがあるんです。そこに行き着くまでのスピード感と、バレッタが浮かんでいるシーンの緩急に、小学生ながら〈すごく綺麗だ〉と思ったんです。
ジャケットをどうしようかと悩んでいたとき、最初は自分で作った版画にしようかと思っていたんですけど、〈それだと、ちょっと幼いかもしれない〉と思って。自分を表していて、かつ、感覚と世界をつなぐアルバムだから、ジャケットもそういうふうにしたいと思っていたときに思いついて。尾瀬四郎という美術家兼音楽家の方に頼んで、写真を撮ってもらいました」
――これまで、ゆうさりさんが作られてきた作品はすべて違ったカラーを持っていて、そこも素敵だなと思います。
「自分の中の一大コンセプトみたいなものが、お風呂に入っているときとかに頭の中に浮かんでくるんです(笑)。〈これの次はこうだろう!〉みたいな。
『由来』のときは〈ほぼギターと歌でどこまで行けるか?〉というコンセプトがあった気がするし、『ほとり』のときはもうちょっと音数を増やして、〈宅録で自分が見ている景色をどこまで表すことができるか?〉を考えていて。今回の『星をつぐ人』は、〈ファズとリバーブを踏みたい〉みたいな(笑)」
――(笑)。
「スケールアップしたい、ステップアップしたい、みんなに届けたいという気持ちもあったし。あとはなにより、自分でバンドのアルバムを作るとなると経済的な面やエネルギー的な面で難しいことも多いけど、阿部さんが声を掛けてくれたので。自分の意思決定より先に枠組みが決まっていく中で、忙しない感じもあったけど、次のステップに行けるものができたと思います。
次は……どうしようかな。もっとヒリヒリしたものを作るかもしれないです。あと、エレピを弾きたいとか(笑)。そういう細やかなコンセプトや狙いが、この先もいろんな人の手を借りながら、形になっていくのではないかという予感がしております」

RELEASE INFORMATION
リリース日:2024年11月20日(水)
品番:APLS2408
価格:2,500円(税込)
配信リンク:https://twitter.com/yuusarimusic
参加メンバー:佐藤日向子(ベース)/椿三期(ドラムス)
TRACKLIST
1. 汐
2. ほころび
3. 幽霊
4. 春の星
5. うろこ
6. 冴える朝(Interlude i)
7. ひかり
8. 涙の港(Interlude ii)
9. つきのうみ
LIVE INFORMATION
星をつぐ人へ

2025年1月23日(木)東京・下北沢 440
出演:
ゆうさり(合奏)
vo, gt. 新川莉子
dr. 椿三期
ba. 佐藤日向子(くぐり)
gt. 吉居大輝(幽体コミュニケーションズ)
Hammer Head Shark
料金:3,000円(前売り)+1 drink/3,500円(当日)+1 drink
tel:03-3422-9440(16:00〜)
購入URL:https://eplus.jp/sf/detail/4218970001-P0030001
PROFILE: ゆうさり
2002年生まれ、新川莉子によるソロプロジェクト。柔らかく曇りない声とガットギター、素朴さとオルタナティブな感性を併せ持つサウンドの中で、知覚を紐解くような詩を繊細に存在させている。クラシックギターと歌とを軸に、ソロドラムとの二重奏、エレキギターを手にしてのバンドセットなど、さまざまな形でライブを行う。2020年、SoundCloudにて楽曲“汽水”を公開、ゆうさり名義での活動をはじめる。2021年、シングル『汽水/目映く』、7曲入りミニアルバム『由来』をリリース、自主制作CDを発表。2022年、シングル“芽”をリリース。2023年にかけてライブを重ね、内村イタル(ゆうらん船)、mekakushe、uami、宗藤竜太、細井徳太郎、高井息吹、君島大空らと共演。2023年2月、新潟にてfigbash、尾瀬四郎の2人との企画〈おはなしみっつ〉を開催。6月には東京・京都の2箇所にて幽体コミュニケーションズとの共同企画〈游 -汽水のいちぞく-〉を開催。2024年1月、6曲入りミニアルバム『ほとり』を配信リリース。神保町 試聴室にて自主企画を開催、穂ノ佳、鈴木健太(山二つ)、尾瀬四郎と共演。ドラムに椿三期、ギターに幽体コミュニケーションズ・吉居大輝を迎えたトリオ編成で演奏。以降定例企画を重ねる。7月、かねてよりユニットで演奏を行なっていた尾瀬四郎と共作で、〈ゆうさりと尾瀬四郎〉として“はしご”をリリース。あわせて、新潟にてfigbash、尾瀬四郎の2人との2度目となる企画〈おはなしみっつ 2〉を開催。9月、『ほとり』の自主制作CDを発表。2024年、ミニアルバム『ほとり』をリリース。
Linktree:https://linktr.ee/yuusarimusic
オフィシャルサイト:https://yuusari.amebaownd.com/
X:https://twitter.com/yuusarimusic
Instagram:https://instagram.com/yuusarimusic
YouTube:https://www.youtube.com/@yuusarimusic
