ドイツを拠点に、故郷モンゴルの伝統的な歌唱や旋律をコンテンポラリーなジャズの中に落としこんだ前2作で高い評価を得たSSWのEnji。離れて気付く故郷のよさというのがあるが、この4作目では、異なる2つの文化や社会の間で改めて自分が何者かを捉えなおした作品と言え、これまで牧歌的でありながら都会的洗練性も併せ持った歌声や歌唱を徐々に確立させてきた彼女がさらに自身の音楽像を明瞭にさせた内容となっている。ドイツの新世代ジャズ・バンドFazerのギタリストPaul Brandleや、Herbertとの共演でも知られる鬼才ドラマーJulian Sartoriusらによる演奏にも注目。