それは、長くまがりくねった一本の道を、たゆまず歩き続けた男の確かな足跡。2026年にデビュー30周年を迎える馬場俊英が、2作のベストアルバムをリリースする。『ALL TIME BEST 1996-2025 風の中のアイラブユー』は、近年の楽曲を中心に、“ボーイズ・オン・ザ・ラン”“スタートライン”など代表曲、コラボ曲、セルフカバーなどを収めた自選ベストで、CD 2枚組全28曲。
もう一作の『UP ON THE ROOF EARLY DAYS RECORDINGS 2001-2004』は、メジャーレーベルとの契約の狭間に自主制作した、3枚のアルバムからのセレクションに、ボーナストラックとしてデビュー以前のデモ音源を収録した全14曲。思い出の1ページにはさみこむ〈しおり〉をイメージした共通のアートワークに包まれた、馬場俊英からファンへの愛情溢れるプレゼントだ。喜んで受け取ろう。
ライブで必要とされた、歌い続けている曲を中心に選曲
――『ALL TIME BEST 1996-2025 風の中のアイラブユー』は、全部で28曲。選曲のポイントは?
「ベストアルバムは3作目になるんですが、2009年と2013年にリリースがあって、30年の前半の15年はそちらに手厚く入っているので、今回はそれ以降の曲が多めになっています。
30年を2つに分けると、前半はCDのリリースが音楽活動の柱で、後半はライブの現場が重要になってきたので、今回はライブで必要とされた曲、ライブで歌い継がれている曲を中心に選曲しました。ここで興味を持っていただいて、それぞれの(曲が入っている)アルバムを聴いてほしいという、そんなイメージのベストアルバムですね」
――リリース順ではなく、曲調や歌詞の流れに沿って作られたような、ライブのセトリっぽいアルバムだなと思いました。
「iTunesのプレイリストでシミュレーションができるので、何度か並べ直して、聴きながら決めていきました。コラボレーションが何曲かあるんですけど、それをディスク1に並べようという考えがまとまったところで、全体の流れが見えてきました。演出の仕方は違いますけど、ライブの流れを決める作業と似ていたかもしれませんね」
――“ボーイズ・オン・ザ・ラン”“スタートライン”といった、鉄板曲ももちろん入っています。
「“スタートライン”は、最初はあまり注目されていない曲というか、当時フォーライフ・レコードと再契約してリリースするための、アルバムの中の1曲みたいな感じだったんですけど。スタッフの方の一人が気に入ってくれて、だんだん序列が上がっていった(笑)。ライブで歌っているうちに、ファンの方からも人気が出てきて、重要な曲になりました。
“ボーイズ・オン・ザ・ラン”も、(コブクロの)小渕健太郎くんと黒田俊介くんが参加してくれて、たくさんの人に聴いてもらえましたし、思い出深い曲がたくさん入っています」
――新録音曲“Can’t Stop Lovin’ You Collaboration with ミトカツユキ”は、2003年にA・cappellersに提供した楽曲のセルフカバーですね。
「30年のアナザーサイドとして、提供曲のセルフカバーを1曲入れようと思った時に、当時から思い出深かったこの曲を選んで、さらに今後に繋がる要素も欲しいと思ったので、近年知り合ったミトカツユキさんに参加してもらいました。彼は本当に素晴らしいシンガーで、年は違うんですけど、好きな音楽が共通する部分があるんです。
この曲を書いた2003年頃は、1996年にデビューして、でもうまくいかなくて、インディーズで活動している宙ぶらりんな時代だったんですけど、そんな中で楽曲提供のチャンスをいただいたので、力を入れて作ったら、デビュー曲にしてくれたんですよ。すごく嬉しかったし、また自分も社会と関わって音楽ができると思えたこともあって、勇気づけられた曲なんです」
