期待に違わぬ素晴らしい名演だ。冒頭のヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番に、彼女の美質が集約されている。オーケストラだけによる提示部がまず最高。〈ヴァイオリンのショパン〉と呼ばれたヴィエニャフスキの美しいメロディと哀切な和声を、名門ベルリン・フィルが豊かな表現力と厚みのある響きで魅力たっぷりに聴かせる。そして、HIMARIが劇的なパッセージとともに登場! 超一流の楽員たちに対し、ヴァイオリンたった一挺で立ち向かい、スケールの大きな表現力、輝かしい音色美、圧巻の超絶技巧により、完全に音楽空間を支配してしまう。11分17秒からのヴァイオリンだけによるカデンツァで見せる深い集中、多彩な音色、多様な感情表現は、若くしてすでに風格を湛えた大家の表現力そのものである。その後のフルートや弦楽合奏との絡み合いも美しさの極みだ。後半の小品集でも、それぞれの曲の性格を多彩な音色と表情で描き分けた、濃厚にして洗練された表現に魅せられる。