オランダで培われた経験を刻んだ、福録ならではのデビュー作
1996年生まれのジャズ・ギタリストである福録篤志は、一般大学卒業後にアムステルダム音楽院に進んだ。なぜ米国ではなく、オランダであったのだろう。
「NYに行った時に出会い今も仲がいいオランダ人ギタリスト、ダーン・クラインから授業は英語でなされ学費も安く、大好きなオランダ人ギタリストのジェシ・ヴァン・ルーラーにも習えると言われたからです」
同校は欧州一円から生徒が集まり、質は高いそう。5年半在籍したというが、彼が同地で得た一番のものはなんであったのか。
「憧れがなくなったことですね。仕事が欲しかったらジェシ・ヴァン・ルーラーから奪わなきゃいけないという環境になった時に、彼と同じことをしても意味がない、自分なりのものを作らなきゃと思うようになりました」
デビュー作『Acceptance - Live In Amsterdam』は、そんな福録のオランダ在住で得た研鑽や機微を詰め込んだ作品だ。現在は帰国し日本で活動している彼だが、アムステルダム音楽院のホールで同校の仲間たちと昨年ライヴ録音されたもの。編成は韓国人、デンマーク人、オランダ人からなるカルテットで、とくに蘭ドックス・レコードからリーダー作を出すチェリン・イムは現代型ピアノ/鍵盤奏者として注視される存在だ。
「日本でツアーをやったメンバーで、その際に演奏した曲をほとんどそのままやったという感じです。カルテットは、自分の曲が一番やりやすい編成です」

得難い奥行きを抱えた曲は殆どがオランダ居住中に書かれた。
「4、5年前に書かれた曲もありますし、僕のオランダ生活の記録ですね。個性というのは技巧という軸だけでは計ることができないもので、〈Acceptance〉は自分を受け入れるという意味で付けましたが、自分の音楽や人生のバックグラウンドを飾らないで出せればと書いた曲です」
そうした曲群のなか、カヴァーも1つ。ジョン・レノンの1971年の曲“ジェラス・ガイ”だ。
「やっぱりビートルズが昔から一番好きで、アメリカのスタンダードをやるよりもジョン・レノンと精神的に繋がるほうが自分としては楽だったんです」
彼は同曲でジャズ奏者としては珍しくスライド・バーを用いて弾いており、それが妙にしっくりくる。自分であれの、様々な発露……。なお、本作のミックスは独創的な音響表現を紡ぐ鬼才ギター奏者の、岡田拓郎が担当。その確かな作法も、福録の現代ギター表現の広がりに貢献している。
LIVE INFORMATION
リリースツアーは2027年春に予定!
https://atsushifukuroku.com/schedule/