COLUMN

いまも苦悩と向き合い、厭世的なウィットと自嘲ユーモア振り撒き続けるモリッシーのソロでの歩み

【PEOPLE TREE】 スミス Pt.3

  • Share on Tumblr
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2017.10.31
いまも苦悩と向き合い、厭世的なウィットと自嘲ユーモア振り撒き続けるモリッシーのソロでの歩み

EVERYDAY IS SILENT AND GREY...
いまも苦悩と向き合いながら、スミスで見た夢の続きを追い求めるモリッシー

 ずばり、〈変わらない〉こと――スミス解散後のモリッシーを端的に表すとしたら、これ以上にわかりやすく、かつジョニー・マーとの差を浮き彫りにする言葉はないと思う。25年に渡って曲作りのパートナーを務めるボズ・ブアラーら、ごく限られた人たちとコラボレーションを続け、それこそ突如ダンス・ミュージックに手を出したりせず、よほどの理由がない限り他のアーティストと共演したりもしない。それに、目前に控えた11枚目のソロ・アルバム『Low In High School』(こんなタイトルを付ける男がほかにいるだろうか?)からの先行シングル“Spent The Day In Bed”が物語る通り、厭世的なウィットと自嘲ユーモアの切っ先は鈍らず、昔も今も愛は不毛にして不在で、孤独なまま。ファンにとってもハッピーなモリッシーなどモリッシーじゃないし、笑っていいのか泣くべきか判断不能な唯一無二のモリッシー節は、現在に至るまで途切れることなく引き継がれている。そもそも彼は〈新しもの好き〉の類ではなく、スミスにいて満足していたのだから、変わる必要性を感じなかったのだろう。それでいて一貫して敵と見なしてきたのは、英国王室や教会など歴史と伝統の象徴だというのがおもしろいところだ。

 もちろん、モリッシーが冒険欲を完全に欠いているわけではない。ミック・ロンソンのプロデュースによる92年作『Your Arsenal』ではグラム・ロックに接近し、2004年作『You Are The Quarry』では忌み嫌っていたシンセをロジャー・マニングJrに弾かせ、2006年作『Ringleader Of The Tormentors』ではエンニオ・モリコーネの参加を得てイタリアン・テイストを盛り込み……と、彼なりに実験。不動の部分が大きいからこそ、細やかな色付けがやたらと興味をそそる。『Low In High School』でもサイケな60年代ポップというかつてないスタイルを採り入れているようで、同じなんだけどどこかが違うモリッシーがまた待ち受けているに違いない。

タグ
関連アーティスト