I WANT THE HEARTBEAT!
次々とパートナーを変え、ギター職人としての腕を磨いていったジョニー・マー

 ワーカホリックなのか、何なのか……87年にスミスを離れ、休む間もなくプリテンダーズへ加入(1年足らずで脱退)したジョニー・マー。翌年にモリッシーがソロ・デビューすると、〈マーもソロ活動に踏み切るんじゃないか?〉と期待されるが、そうした巷の声を尻目にお次はザ・ザの一員として活躍。在籍時に発表した2枚のアルバムは共にヒットを記録し、さらに並行してニュー・オーダーのバーナード・サムナーとエレクトロニックを立ち上げ、ダンス・ミュージックへと大きく接近していくのだった。

 思えばマーはスミス時代から〈伴奏者〉としての立ち位置を自覚し、エゴを出すよりも楽曲の完成度を高めるためにギターを弾いていたように思える。正式加入したバンド活動の傍ら、名曲“Home And Dry”(2002年)ほか幾度となく絡んできたペット・ショップ・ボーイズをはじめ、ビリー・ブラッグやブライアン・フェリー、ベックにジェーン・バーキン、ジョン・フルシアンテやシャーラタンズなどなど、ひっきりなしに客演仕事をこなしているのも、彼の職人的な気質がそうさせた結果だろう。自身のパブリック・イメージを意固地なまでに守り、外部との接触も必要最低限に留めてきたモリッシーとは真逆とも言える歩みが何とも興味深い。

 そんななか、2000年に突如としてジョニー・マー&ヒーラーズを結成する。しかし、ようやくこのリーダー・バンドに腰を落ち着けるかと思われた矢先、ニール・フィン率いる7ワールド・コライドに加わり、ヒーラーズは事実上の休止状態。その後も2007年にはモデスト・マウスへ、2009年にはクリブスへと、大西洋を股に掛けて多数のグループを渡り歩くことに。

 だからこそ、『The Messenger』(2013年)、『Playland』(2014年)と立て続けにソロ・アルバムを発表し、頻繁にツアーを行っている現在の様子が僕には少し信じられない。リリカルなカッティングが炸裂したここでのスミス的な純英国ロックに、往年のファンは大喜びしているが、果たして今後はどうなることやら。