〈最後のアルバムになるかも?〉と噂されるなか登場した8年ぶりの新作。インタースコープとの契約が打ち切られて完全なる自主リリースだったのにもかかわらず、8月に配信された時点で全米No.1を記録した話題の一枚だ(ロック・バンドで同チャートを制したのは、リンキン・パーク、アーケイド・ファイアと肩を並べる快挙)。ポップ・パンク・バンドとして2001年にデビューしながら、その後、オルタナ路線へ舵を切り、進化を遂げてきた彼らの〈悟りの境地〉と表現すべきか、激情を迸らせつつ、全体の印象はどこか落ち着いているという何とも不思議な聴き心地。ハードコア色の濃いナンバーがある一方で、フォークやブルースに迫る曲もあり、スワンズやジャイアント・サンドの系譜に連なる異形のアメリカーナを追求したようにも思える。持ち味の起伏に富んだ大胆な曲展開をあえて封印し、8分超えの長尺を淡々と聴かせるラストがとりわけ凄い。その静かに気迫を漲らせた演奏からバンドの本気が感じられる。