今更ながら考古学が遺跡の探査、発掘という作業をベースにしているように、歴史にもフィールドワーク、現地調査という作業があり、それがとても重要な意味を持つということを痛感した。史料を当たるということがどういうことか勘違いしていた。著者は、ラテンアメリカの歴史を今生きている人々の生活空間を調査することからラテン史を書き起こす。コロンブスの”発見”の意味を被発見者の視点から経験し直そうという。空間に仕込まれた歴史という時間を掘り起こす。現在インディオの生活を整地、統括するスペイン語、ポルトガル語が塗り替え構築するラテン世界の抑圧する多様なラテンが、透かし絵のように浮かび上がってきた。
清水透 「ラテンアメリカ五〇〇年」 ラテンアメリカの歴史を今生きている人々の生活空間を調査することで書き起こす
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