デビュー作が各方面で高い評価を得た塚原啓のソロ・プロジェクトが、約2年半ぶりにセカンド・アルバムをリリース。煌めく電子音とウィスパー・ヴォイスがイマジネーションを掻き立てるタイトル曲や、哀愁を帯びたピアノのリフと澄んだ歌声が絡み合う“Passage”、ブレイクビーツをベースにホーンの音色などサンプリングを注入したブラックネス漂う“Moment”など、全13曲中11曲に5名の女性ヴォーカリストを迎え、温もりある耽美な歌モノのエレクトロニカが繰り広げられる。あくまでもヴォーカルが主体ではあるが、美と破壊、静と動の対比が際立つビートメイキング、立体的な音の配置など、サウンド・プロダクションの妙技にも感服するばかり。夢うつつ感が後を引くシネマティックな余韻も◎。