ジョアン・ジルベルトのギターのリズムに3:2のポリリズムを感じる時、そのリズムがジョアン個人固有のものだとする前に、それがブラジルの音楽にイディオムとして宿ったアフリカのリズムだと判断し、その影響をブラジル音楽全体に見出す知見はどのようにすれば得られるのか。この本が示すのはブラジルの黒人人口の組成とその動態の分析に基づくブラジル国民におけるアフリカ的なものの価値とその意識の変化である。アフリカによるブラジルとブラジルによるアフリカの価値交換の持続が何を創出し何を磨耗するのかを歴史的、地政的に辿る。そしてその交換と変化は黒人の中でも起きていたことを示す…。
矢澤達宏 「ブラジル黒人運動とアフリカ ブラック・ディアスポラが父祖の地に向けてきたまなざし」 アフリカをめぐる〈黒人大国〉ジレンマ
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