2020年で(改名後)デビュー50周年を迎える五木ひろしから、記念碑的なアルバムが届いた。しかも後輩・若手の歌をカヴァーするという挑戦作だ(中にはベテランの鳥羽一郎の歌も収録)。民謡調の“アイヤ子守唄”(福田こうへい)から昭和風の“唇スカーレット”(山内惠介)、さらには純烈の“純烈のハッピーバースデー”まで、氷川きよし、市川由紀乃、川野夏美、三山ひろし、丘みどり、北川大介、水森かおり、森山愛子ら、演歌界の未来を担う歌手たちの曲を見事に〈五木節〉で歌い上げている。演歌、昭和歌謡曲、さらにラテンなど多彩なジャンルのカヴァー曲を網羅しているさまは、まさに〈演歌・歌謡曲のデパート〉状態。そもそも五木本人が坂本冬美“俺でいいのか”を聴いて着想を得たという本作品。後輩たちに〈俺でいいのか?〉と問いかけていたかどうかは分からないが、演歌の道は〈俺でいいのだ〉と誰しもに納得させてしまう説得力のあるアルバムだ。本当に、演歌っていいね!