キャリアの終盤に差し掛かって、音楽家は何を思い、感じて演奏を続けるのだろう。ジャズ・ドラマーのトム・レイニーは、欧州を拠点に活動を続ける。ティム・バーン、ケン・ヴァンデルマークやマイク・ノック、フレッド・ハーシュ、ケニー・ワーナーなどなどと共演し、フリーから、ビッグバンドまでとさまざまなジャズを演奏する。このアルバムでは、珍しくスタンダードだけを取り上げている。コレクティブの即興による演奏は、まるでスタンダードの影絵でもみているようで新鮮、斬新な解釈だと思う。脱中心化とでもいうのだろうか。オリジナルのメロディーの印象をそれぞれが奏でる。スタンダードの陰画集。