「老人Z」は、91年に大友克洋、江口寿史、北久保弘之のコラボによって製作されたSFアニメ。老人介護のオートメ化を計る政府の施策に、軍用プログラムがこっそり仕込まれた介護ロボが採用されるが、ロボは暴走し、介護老人、介護士が暴走に巻き込まれる。科学者の想像するユートピーアが、現実世界ではロジックを超え、ロジック故に暴走しデストピア化するという大友作品ならではのストーリーだが、インダストリアルでクールな世界観とホットな下町人情が交差してロマンチックな詩情が漂う。板倉文のハイブリッドで、詩情豊かなテクノ音楽が、このふたつの情緒を巧みに伴奏する名作がアナログ盤とリマスターCDで蘇る。