2011年に活動を終えた半沢武志のプロジェクトから10年を経て届いた復活作は、音楽と距離を置きながら年1曲ペースで作るという試みの成果を集大成したものだという。往時のハウス〜クロスオーヴァー・サウンドでもなく、アルバムを重ねるごとに移行してきたポップス路線の流れにも収まらず、全体の雰囲気は流行に左右されることなく自由に構築された鮮やかな楽曲集の趣だ。スペイシーな“芸術Explosion”のようなダンス・トラックも含めて曲ごとの描く世界は多様ながら、かつて“Stars”(2007年)で組んだミズノマリを招いたAOR調の“Someday”、コトリンゴの儚さが映える“Sendai”、最近は「おかえりモネ」でまた脚光を浴びるAnn Sallyを招いた“運命”というオーガニックなヴォーカル曲たちが抜群のハイライト。