クリストファー・スモールが提唱した概念〈ミュージッキング〉。〈ミュージッキング〉はモノとしての音楽でなく、活動や行為としての音楽の相の復権を目論む概念。スモール自身の著書 「ミュージッキング」が翻訳されたこともあり、ここ数年耳にする機会の増えた言葉だ。本書は、その〈ミュージッキング〉の概念をもとにした共同プロジェクトの研究がまとめられたものになる。執筆者は文化人類学、音楽人類学、映像人類学、音楽教育学など多様な専門家が集結。また、取り上げられたテーマも福祉現場、日本のディスコ史、伊江島の音楽、黒人教会の音楽と多岐にわたる。未明の地平に誘う内容となっている。