ヴェルディが建てた音楽家のための老人ホーム〈カーザ・ヴェルディ〉は若い音楽家も同居している。毎日食事を共にし、時々レッスンやアドバイスを受けたりという得難い環境の中で生まれる誇り高き人々の集まりならではのトラブル、そして食事の前に御婦人方のために開けにくいペットボトルの蓋をいつもこっそりゆるめてあげるテノール歌手(カーザ・ヴェルディでは引退後も敬意を込めて〈テノール歌手〉と呼び〈元〉とは付けない)の様な温かいエピソードの数々を留学生として住んだ著者が率直な視点から綴る。貴重な留学記でもあり異世代ルームシェアのユニークな例としても楽しめる一冊です。