©Chris Gloag

「日本でまだ歌っていない、しかもポピュラーな曲を集めました」
――鉄人テノール、グレゴリー・クンデが2025年2月に日本初ソロ・コンサート

 グレゴリー・クンデは1954年2月24日イリノイ州生まれというから現在70歳。2023年の東京では10年前と同じくチョン・ミョンフン指揮で“オテロ”(ヴェルディ)の主役を歌い、一段と輝かしい高音で聴衆を熱狂させた鉄人テノールが2024年2月1日、サントリーホールで日本初のソロ・コンサートに臨む。

 前半はヴェルディ、プッチーニ究極の名作アリアを2曲ずつにレオンカヴァッロ“道化師”から“衣装をつけろ”。「ここ数年実際の舞台で手がけ、日本ではまだ歌っていないものを選びました。お客様の多くがご存じのポピュラーな作品ばかりのはずです」。最初はロッシーニをはじめとするベルカント歌劇やモーツァルトのテノールとして頭角を現した。「過去10年、私の声は本当にドラマティックテノールに落ち着いてきましたし、ロブスト(強靭)でありたいと願っています。ただ、どのようなレパートリーであっても常にベルカント、つまり美しい歌唱とレガートの様式を心がけてきました。これが声を良い状態、正しいポジションに保ち、自分を超えて無理に歌うことがないようにする秘訣だと確信します」

 いかなる作品にもベルカントの基本を尊重する姿勢は日本でも、多くのオペラ・ファンに支持されてきた。「私は日本の観客が大好きです。とても知的で、オペラに出かける準備を他の国の観客とは異なる特別な方法で行います。作品だけでなく、出演アーティストにも詳しくて、素晴らしい! また、オペラを歌うための訓練や努力も非常に高く評価してくださるため、日本のステージに立つことは名誉であり特権です」

 コンサートの後半は、なんとジャズ! Delosレーベル(日本ではナクソスジャパンが販売)から2024年10月にリリースした『Then And Now』に収めたスタンダードナンバーをアルバムのピアニスト兼アレンジャーでもあるジョン・G・スミスのピアノを交えて歌う。「コロナ禍中、歌手仲間たちがYouTubeやFacebookにアリアの動画を投稿しているのを眺めながら〈1950~60年代の(ジャズ)スタンダードを歌うのも楽しいかもしれない〉と思い、最初はオンラインのカラオケに合わせ、自宅で歌う画像を投稿しました。妻のリンダも面白いと考えてアルバムの準備を始めた時、私のマネージャーが旧友のジョンと連絡をとり、すぐに意気投合したのです」レコーディングは「電流が走ったような現場でした」と振り返り、日本でも楽しい時間を期待できそうだ。

 


LIVE INFORMATION
グレゴリー・クンデ ソロコンサート

2025年2月1日(土)サントリーホール 大ホール
開場/開演:12:45/13:30

■出演
テノール:グレゴリー・クンデ
指揮:三ツ橋敬子
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:John G. Smith

■曲目
<名曲オペラ・アリア集>
ヴェルディ 歌劇《椿姫》より「彼女から遠く離れて…燃える心を」
ヴェルディ 歌劇《リゴレット》より「女心の歌」
プッチーニ 歌劇《マノン・レスコー》より「なんてすばらしい美人」
プッチーニ 歌劇《トスカ》より「妙なる調和」
レオンカヴァッロ 歌劇《道化師》より「衣裳をつけろ」
ヴェルディ 歌劇《イル・トロヴァトーレ》より「ああ、愛しいわが恋人…見よ、恐ろしい炎を」ほか

<名曲ジャズ・オールディーズ集>
君の瞳に恋してる、バークリー・スクウェアのナイチンゲール、恋に落ちた時、今宵の君は、フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン ほか

https://ticket.rakuten.co.jp/music/classic/opera-vocal/RTCQ25A/