〈Tokyo Samurai Doom〉の異名を持つHEBI KATANAが、4枚目となるアルバム『Imperfection』を完成させた。前作『III』リリース後には世界規模での活動を展開した彼らの最新作は、〈侘び寂び〉や〈不完全さの美〉といった日本独自の美学をコンセプトに掲げた、実験的で挑戦的な1枚に。純粋なドゥームメタルファンのみならず、グランジやハードロックなどのリスナーも魅了するサウンドを展開している。Nobu(ギター/ボーカル)、T.T. Goblin(ドラムス)、Laven(ベース/ボーカル)の3人に、楽曲制作の背景を聞いた。

HEBI KATANA 『Imperfection』 UNFORGIVEN BLOOD/Ripple Music(2025)

 

コロナ禍に始動したドゥーム/ストーナーバンド

――まず、HEBI KATANAの成り立ちからうかがいます。バンドは2020年に結成されていますが、きっかけを教えていただけますか?

Nobu「以前からドゥーム系やヘヴィメタルのバンドをやっていたんですが、ずっと自分主導でバンドを始めたいと思っていて。ちょうどコロナ禍でなかなかライブができなかったので、自然と曲を作るのがメインになり、そこからスタートしました」

――最初からドゥームメタル方面のサウンドを意識していたんでしょうか?

Nobu「そうですね、ドゥーム/ストーナーとして聴いてもらえるよう意識していました」

――HEBI KATANAは王道のドゥーム/ストーナーだけではなく、特に初期の作品ではグランジなどの派生ジャンルの雰囲気もありますよね。

Nobu「そこは自分では意識していなくて。あくまでドゥームのカテゴリで活動する気持ちがあったんですけど、やっぱり自分が今まで聴いてきた要素が出てしまったのが実情ですね」

――ちなみに、どういったバンドを聴いていたのでしょうか?

Nobu「当時はペンタグラム、ジ・オブセストといったドゥーム系のレジェンドを聴き直していたんですが、自分としてはメルヴィンズや、ニルヴァーナの1stアルバム(『Bleach』)とのリンクを感じていたので、そのあたりとの組み合わせを模索していましたね」

――Lavenさん、T.T. Goblinさんはどういったバンドを?

Laven「ラッシュとかメタリカなどを聴いてましたが、出身がポートランドなのでグランジも大好きでした。カイアスを初めて聴いたときに〈すごいバンドだ!〉と思って、ドゥーム/ストーナーの方向にのめり込んでいきましたね」

T.T. Goblin「ピンク・フロイドの『狂気』とかザ・ポリス、コージー・パウエルが好きなのでレインボー、スラッシュメタルも少し。逆にドゥームはあまりかじってなかったので、ブラック・サバスのようなメジャーどころを聴いてました。あと、それこそラッシュみたいなプログレッシブロックが大好きです」

――おふたりは前作から加入しましたが、どういった経緯でバンドに入ったのでしょうか?

Laven「2020年に日本へ移ってから、こっちでドゥーム/ストーナーバンドを探していて。日本のシーンは大きくなかったのでバンドを探すのは大変でしたが、当時のHEBI KATANAのベーシストが辞めることになり、加入することになりました」

T.T. Goblin「2021年のクリスマスイブに、西荻窪のPit Barで初めてHEBI KATANAを観たんです。そのときに、ドゥームだけでなく70年代のハードロックの雰囲気も感じて、ヘヴィだけどボーカルはキャッチーでカッコいいなと。内心、〈自分ならこう叩くな〉と思いながら観てました。そこで(Nobuと)連絡先を交換したのがきっかけですね」

 

海外ファンによる愛称〈Tokyo Samurai Doom〉

――前作『III』をリリースした後、国内だけでなく海外でも精力的に活動を行っていますよね。バンドとして得るものはありましたか?

T.T. Goblin「海外ツアーでは6日くらい連チャンでライブをして。いろいろ問題もあったんですけど、団結力が高まりましたね。よりバンドらしさが出て、信頼度が増しました」

Nobu「そうですね。合宿みたいなものだったので」

Laven「初めてイタリアに行きましたが、現地の観客から温かい歓迎があってとてもビックリしました。ツアーを経て3人の連携が良くなったし、ツアー中でも、楽曲制作でも、どう一緒にやっていくかが分かってきて、まるで家族になるための最終テストみたいな感じでしたね」

――そういえばHEBI KATANAは〈Tokyo Samurai Doom〉と称されることもありますが、この言葉は海外ファンの発信がきっかけだそうですね。

Nobu「そうなんですよ。実は1stアルバム(『HEBI KATANA』)をリリースしたときに、海外のWEB ZINEでそう紹介されていたのを拝借していて。

最初は日本文化の要素はまったくなかったんですけど、今ではジャケットやTシャツ、SNSなどトータルでプロデュースをしていかなきゃいけないのもあって、そういった部分で昔の黒澤映画や三船敏郎みたいな武士の雰囲気をモチーフにすることもありますね。〈KATANA〉の字もそのまんま日本文化だったりするので。あと新しいバンドなので、どうやったらみんなに聴いてもらえるかを考えていろいろトライしたという面もあります」

――HEBI KATANAというバンド名の由来も気になります。

Nobu「これも正直に言うと深い意味はなくて(笑)。バンド名を考えたときに、英語だとカッコいい名前が出尽くしているというのもあるし、後から出てきたバンドなので検索で埋もれるのも避けたかったんですよね。たまたまタトゥーのモチーフの画像を見て、〈こういう名前のバンドがいないなら、いいかな〉と思って名づけました。後からいろいろ本を読んだりして、バンド名に追いついていった感じです(笑)」

 

侘び寂びや不完全さの美をテーマにしたコンセプト作

――(笑)。ここからは最新アルバム『Imperfection』についてうかがいますが、まずタイトルの由来を教えていただけますか?

Nobu「今回はアルバムのコンセプトをしっかり作りたかったんです。今まではコンセプトがなかったし、前作から3人とも同じメンバーでもあるので、一歩踏み込んで作りたいなと。

〈Tokyo Samurai Doom〉と言われてはいたんですけど、内面が追い付いていないのは自分でも感じていたので、日本の人が聴いても恥ずかしくない、安易に〈サムライ〉を使っているように思わせないような作品に挑戦しました。そこで侘び寂びや、不完全さをそのままにしておくという日本の美学をたまたま目にして、これをテーマにしたらいいんじゃないかと思って進めていきましたね」

――コンセプト面で言うと、アルバム全体が一本の流れとして構成されている印象を受けました。

Nobu「そうですね。曲順やレコードで聴くときのA面/B面も意識して、繋がりなどもみんなで話し合っていて。(T.T. Goblinが)プログレ好きなので、かなり意見を言ってくれました(笑)」

T.T. Goblin「楽曲はNobuくんが弾き語りのデモで送ってくれたものをバンドでアレンジしていったんですが、全曲が形になった段階で曲順は自分が〈こういう曲順がいいんじゃないか〉と提示していきましたね。5曲目“Blood Spirit Rising - 諸行無常”から7曲目“Yume wa Kareno - 夢は枯野”は組曲ではないですけど繋がっていて、内心ニヤリとしながら〈これだ!〉って思ってました(笑)。

ドゥームメタルを軸にしながら、コーラスやハモリなどいろんなバリエーションを入れているし、2曲目の“Dead Horse Requiem - 走馬灯”はうちらの中では速いほうだし、今までにない挑戦的な要素もあって……俺の中ではプログレなんじゃないかと(笑)。いろいろな捉え方ができると思います」

 

磨き上げた歌メロとヴィンテージサウンドで間口はより広く

――コーラスやハモリについてお話しいただきましたが、過去作よりもさらに歌メロやハーモニー、ギターリフを引き立たせるようなアレンジになっていますよね。

Nobu「僕らはデスボイス自体ができないので自然とクリーンボーカルになるんですけど、〈より歌メロを磨きたい〉という意識は常にあって。ドゥームメタルというとまずリフがあって、歌メロは飾りとまではいかないですけど、ないがしろになってしまう部分もあると思うんですよ。でも最近だとゴーストとかアンクル・アシッド&ザ・デッドビーツのような、メロディの良いバンドがどんどん受け入れられているので、僕らも追求したかったんです。

リフとかもギターを使って作るより、散歩している時に歌でiPhoneに録音してから、家に帰ってどう弾くかを考えてますね」

――ドラムアプローチも変化を感じます。過去作ではツーバスを用いたアグレッシブなパートもありましたが、今作ではメロディに寄り添っている印象を受けました。

T.T. Goblin「たしかに今作はツーバスを入れてないですね。自分の中でのテーマがヴィンテージ風だったので、ツーバスを入れる要素がなかったんです。前作がハードロックだとしたら今作はロックのイメージで、聴かせるようにしていますね。前作はドラムが前面に出ていたので、〈ループして聴けるのかな〉という課題が個人的にあったんですが、今作ではドラムを引っ込ませていて。ナチュラルな感じでヴィンテージっぽくなりました。それも今作のウリかもしれないですね」

――たしかに、前作と対比するとサウンドにヴィンテージ感がありますね。

Nobu「前作と同じスタジオで録ったんですが、ギターやベースはセッティングをほぼ変えてなくて。……今思い出したんですけど、スタジオで〈どんな感じか、参考音源はありますか?〉って話になった時にペンタグラムの最新作(『Lightning In A Bottle』)は聴いてましたね」

 

アンクル・アシッドからラッシュ、ザ・ポリスまで多彩な影響源

――なるほど。他にも楽曲制作において参考にしたものや、創作に影響を与えた要素があれば聞かせていただけますか?

Nobu「アンクル・アシッド&ザ・デッドビーツをよく聴いてました。ああいう哀愁があって、メロディもリフも印象に残る楽曲というのはインスピレーションとしてありましたね」

T.T. Goblin「“Praise the Shadows - 陰翳礼賛”は、ザ・ポリスをイメージしました。ほぼ全曲ライブ感や疾走感があるんですけど、“Bon Nou - 煩悩”はレッド・ツェッペリンとか、UFOの“Lights Out”ぽさもあって。“Yume wa Kareno - 夢は枯野”は最後にラッシュっぽくなるんですけど、あれはもう意図的です(笑)。大好きなので。もう包み隠さず自分をさらけ出した感じがありますけど、好きなアーティストなので俺的には敬意を込めてやってます。〈これラッシュだろ〉ってツッコまれるかもしれないですが(笑)、それでいいと思うんですよ。わかる人にはわかる感じで。これが今現在のHEBI KATANAの姿ですね」

Laven「これまではNobuが楽曲の大部分を作っていて、リハーサルの時にはもう楽曲がほぼ完成していたんです。今作ではその構造の自由度が高かったので、たくさんのリハーサルを通してGoblinと私がそれぞれのアイデアを落とし込むことができました。だから、より楽曲を自分たち自身のもののように感じています。バンドとしても、サウンドとしても大きな進歩になりましたね。自分の個性も発揮できたし、このアルバムは〈3人でどんなサウンドを鳴らせるか〉を体現していると思います」

 

ライブのスリルを反映させたドゥームナンバー“Dead Horse Requiem - 走馬灯”

――収録曲についても詳しくうかがいます。“Bon Nou - 煩悩”はイントロがアルバムの他の曲のアルペジオを引用している、ユニークな構造になっていますね。

Nobu「もともとはそういうアイデアはなかったんですけど、曲順を決めるときにジャケットの〈円相〉みたいにしよう、という話になって入れましたね」

T.T. Goblin「よりコンセプトアルバムっぽい感じになったと思います。たしかレコーディング中だよね?」

Nobu「そう。今回はレコーディングに入る前に曲順を全部決めていたんですよ。だからスタジオに入る前の練習で、イントロをこうしようかと決めた感じですね」

――そこからレッド・ツェッペリン・オマージュのファストな展開になると。

T.T. Goblin「(笑)。Nobuくんから、〈ドラムのビートをボンゾみたいにしてほしい〉って話があって」

Nobu「ビートは“アキレス最後の戦い”風に、って提案した記憶がありますね」

T.T. Goblin「それで〈難しいのきたな〉と(笑)。フタを開けたらツェッペリンというよりはUFOになっちゃいましたけど……。まぁ、こんな感じでやってます(笑)」

Nobu「後半はLavenがファズで思いきり潰していくっていうアイデアもあって」

Laven「速いパートとのコントラストがいいなと。プログレッシブな要素を入れることで、作品の導入として面白くなっていると思います」

――シングルカットされている“Dead Horse Requiem - 走馬灯”は、1曲目と対照的にトラディショナルな雰囲気のドゥームサウンドです。

Nobu「イントロは〈ドゥーム〉と聞いて思い浮かべるであろうサバス系のリフで、途中からアップテンポになるのはライブを意識しました。自分はライブ中にお客さんのノリを見ることが多いんです。ずっと(リズムが)一定でも間違いではないんですけど、Goblinのドラミングスタイルは手数が多いというのもあるし、途中に速くなるパートがあったほうが生き生きするかなと」

T.T. Goblin「なるほど(笑)。速くなった後のパートはこの曲の中でも一番緊張感があって。何かが襲い掛かるような。そういうライブの雰囲気と、スリリングな感じを混ぜて演奏してました」

 

ボーカリストが2人いるからこそ生み出せる個性的なハーモニー

――“Praise the Shadows - 陰翳礼賛”は谷崎潤一郎の随筆がタイトルに使われていますね。

Nobu「とあるバンドの友人に谷崎潤一郎のことを教えてもらって。それまでは恥ずかしながら名前しか知らなかったんですけど、侘び寂びといった今作のコンセプトを考えている時に『陰翳礼讃』を読んで、いいなと思ったんです。西洋だとあえて明るくして全部見えるようにするけど、日本は暗闇を使って際立たせる――というような内容で、それを曲にしたいと思って作りました」

――この曲はコーラスも印象的ですよね。

Nobu「Lavenが高い声を綺麗に出せるので、今回はいろいろと挑戦していますね。全曲彼が高音のパートを歌っています」

Laven「地声がNobuよりも高いので、ハーモニーが自然に生み出せました。アリス・イン・チェインズみたいなツインボーカルが歌えるし、メランコリックな曲にもよく合うと思います」

Nobu「ドゥーム系だと、ボーカルが2人いるバンドがなかなかいないというのも大きいですね。全然ジャンルが違いますけど、ブリンク182も全然タイプの違う声のハーモニーが個性になっていますし、もちろんザ・ビートルズもそうで。そういうのを自分でやりたいと思っていたので、今回思い切って取り入れました」

――“Doomed Echoes from Old Tree - 木霊”は中盤でリフが代わる代わる登場しつつ、まさに木霊のように反復していく楽曲です。

T.T. Goblin「この曲こそ一番ドゥーミーじゃないかなと。展開もシンプルだけど意外と複雑で、〈あ、ここで速くなるんだ〉みたいな。俺の中では〈急に殺人鬼が現れる〉みたいな曲です(笑)。あと、この曲は『墓場鬼太郎』みたいなイメージもあります」

Nobu「“Bon Nou - 煩悩”でアルペジオが別の曲に出てきて……って話があったと思うんですけど、歌メロも同じようなものが別の曲で出てくるんですよ。これはたまたまなんですけど。リフもクリシェといって半音ずつ下がっていく進行が多くて、そういうのも聴き込んで見つけていただけると嬉しいですね。Lavenは〈やりすぎなんじゃないか?〉って言ってましたけど(笑)、今回は振り切ってます」

 

穏やかな現在の裏にある過去の混沌を奏でた“Blood Spirit Rising - 諸行無常”

――“Blood Spirit Rising - 諸行無常”ではLavenさんがメインボーカルを担当していますね。

Laven「今までいろいろなバンドを経験してきましたが、自分がメインシンガーではないのはこのバンドが2つ目なんです。歌うことが好きなので、この曲を歌えて光栄ですね。

この曲はストーナー/デザートロックで、私たちがこういうサウンドもやれるということを示したかったんです。カイアスのオマージュも少し入ってますね。アレンジも前半は疾走感があって、後半にはメロディックなブレイクダウンが出てくるプログレッシブな構成です。

歌詞では、侘び寂びの美学を意識しました。歴史を振り返ると、現在は平和な時代ですが、かつては混沌とした時代がありました。でも今の我々には、その時代のことが本当に理解できているかはわからない。美しいものの裏側には恐ろしい出来事があったかもしれない、そういう二面性を反映させようとしました」

Nobu「歌詞はアルバム全体を通してのカラーがありまして。この曲はLavenが全部書いたんですけど、背景的な部分は伝えていて、それが松尾芭蕉の俳句〈夏草や兵どもが夢の跡〉なんです。彼が言ったように、今は穏やかな状態だけど過去には戦場になっていて、夢を見ながら死んでいった人たちもいただろう……という感じで、前半の激しいパートで戦、後半の静かなパートで魂が悲しみながら飛んでいく、諸行無常の雰囲気を表現しています」

Laven「ベースに関して言えば、前半部分ではストーナーサウンドですが、後半ではクラシックメタルに変化してます。個人的に(メタリカの)クリフ・バートンがベースヒーローで、“Orion”が大好きなんですが、あの曲のベースソロはギターのような音なので、もしかしたらベースだと知らない人も多いかもしれないですよね。ああいう、通常のリスナーがベースだと気づかないようなメロディックなソロを弾いてみたかったので、今回はうまくいきました。最後のパートではベースとギターでアイアン・メイデンのようなハーモニーもやっています」

T.T. Goblin「この曲はドラムソロもありますけど、出だしのフィルが好きなんですよね。自分の中ではあれはカテドラルの“Ride”とか、ザ・フーの“My Generation”が大人しくなった感じ(笑)」

Nobu「アレンジはこの曲が一番時間が掛かったかもしれないです。ジャム的に進めていった部分と、紙に書いて構築していった部分があって、スタジオではだいぶ苦戦しましたね(笑)。もうライブでは何度かやってるんですが、Lavenがメインボーカルでソロもあるから彼に視線が集まるし、ステージの構成にも厚みが出せていて。彼に歌ってもらって良かったです」

Laven「Nobuの休憩もできるしね(笑)」

 

松尾芭蕉をモチーフに実験へ挑んだ“Yume wa Kareno - 夢は枯野”

――(笑)。叙情的な“Yu gen - 幽玄”を経て、ラストの“Yume wa Kareno - 夢は枯野”は松尾芭蕉の辞世の句を題材にしていますね。

Nobu「コンセプトを考えるときに『おくのほそ道』を読んだりして、歌詞のモチーフを探しましたね。(松尾芭蕉は)かなり過去の人ですけど、言ってることは現代にも通じるところがあって。作品はずっと残るけど、自分は病気で死んでしまうかもとか……今は幸い何もないですけど、今後いつバンドができなくなるかはわからないですし、そういう自分の考えとリンクしましたね」

――アウトロも含めて、大団円のようなクライマックスが演出されています。

Nobu「そうですね。最初はクリーントーンで始まって、ドゥーミーになったり、最後はテンポが変わったりと目まぐるしくて。曲を作るときに聴き直したのがブラック・サバスの『血まみれの安息日』なんですけど、曲調が複雑で、Hメロくらいまである曲が多いんですよ。今までのHEBI KATANAはA→B→サビ……っていう曲が多かったので、自分たちの得意パターンをあえて壊してみようと」

T.T. Goblin「全体的に実験的であり挑戦的な感じですね。だってやったことないもん。練習していて〈あぁ、新しいな〉って思いましたね」

――ラインナップが安定したからこそ、挑戦ができたのでしょうか?

Nobu「それは絶対ありますね。お互いのことを知らないのにFメロまである曲をやっちゃうと、かなり大変だと思う(笑)」

――9月にはアルバムのリリースパーティーも予定されているそうですね。

T.T. Goblin「9月14日に小岩BUSHBASHで開催します。リリースパーティーというか、もうフェスですね(笑)。繋がりのある人や仲の良いバンド、ゆかりのあるゲストを呼んで演奏する予定です」

 

ドゥームは意外とわかりやすくて身近な音楽

――途中でゴーストについての話も出てきましたが、彼らが最新アルバムの『Skeletá』でビルボードチャートの1位を獲得していたり、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのようなバンドも根強い人気があったりと、広義でのドゥームメタルは近年盛り上がりを見せているように思えますが、みなさんとしてはどのように捉えていらっしゃいますか?

Nobu「日本での盛り上がりは、もしかしたら大きくなっているかもしれないですね。デスメタルなど他のジャンルに比べるとどうしても集客など厳しい面があったと思うんですけど、ドゥームから外れればゴーストやクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジみたいな人気バンドもいますし。

ただ、もう濃厚なドゥームは出尽くしちゃってると思うんですよね。自分たちが意識し始めたころにはChurch Of Miseryはもちろんいたし、カテドラルとかのパイオニア世代もいて。それをそのままやっちゃうと、自分たちも満足できないし、聴いている側もあまり面白くないんじゃないかなと」

T.T. Goblin「そこで各々が持っているものを引き出して、(HEBI KATANAが)こういう形になったのかなと思います」

Nobu「ザ・ポリスを参考にしてみたりとかね」

T.T. Goblin「〈ザ・ポリスはドゥームじゃないじゃん〉って言われればそうなんですけど。俺たちの軸は大枠でいうとドゥームなんですが、それだけだと限られちゃうし、持ち味が生かせないので、こういう理解があるメンバーとのバンドはやりがいがありますね」

Nobu「あとリスナーとしては、ドゥームじゃない曲でも〈これドゥームじゃん〉っていうのを無理やり探しちゃってるんですよ。ザ・ビートルズでも“Come Together”とか、J-POPの曲でも〈これはドゥームなんじゃないか〉って発見できるんで(笑)」

――逆にHEBI KATANAを聴いて親近感を覚える、異ジャンルのリスナーもいるかもしれないですね。

Nobu「そうすると交流が増えますしね。〈ニルヴァーナの『Bleach』の1曲目、ドゥームだよね〉みたいな話で(笑)、ジャンル関係なくカッコいいじゃんって絡んでいければ広がりができると思います」

Laven「ジャンルは名前の問題だと思いますね。人気になりそうなポテンシャルがあるバンドでも、〈ドゥームはわからない〉って聴かない人もいますし」

Nobu「一昨年に出た本で『酩酊と幻惑ロック:ドゥームメタル・ストーナーロック・スラッジコア・ディスクガイド 1965-2022』っていう本があるんですけど、まさにそういうコンセプトで。PUFFYとかも載ってるんですよ。いろいろな音楽を聴いてドゥーム化するというのは、今後も追求していきたいです」

T.T. Goblin「(ドゥームは)意外とわかりやすくて身近なものですよ、っていうのはあるかもしれないですね」

 


RELEASE INFORMATION

HEBI KATANA 『Imperfection』 UNFORGIVEN BLOOD/Ripple Music(2025)

■国内盤CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:UFBL-014
価格:2,970円(税込)

■輸入盤CD
リリース日:2025年7月25日(金)
品番:RIPCD263
価格:3,390円(税込)

■輸入盤LP
リリース日:2025年7月25日(金)
品番:RIPLP260
​価格:3,390円(税込)

TRACKLIST
1. Bon Nou - 煩悩
2. Dead Horse Requiem - 走馬灯
3. Praise the Shadows - 陰翳礼賛
4. Doomed Echoes from Old Tree - 木霊
5. Blood Spirit Rising - 諸行無常
6. Yu gen - 幽玄
7. Yume wa Kareno - 夢は枯野

 

LIVE INFORMATION
HARAKIRI ZOMBIE 3rd Album “HARAKIRI HUNTER” Release Tour in Tokyo

2025年7月5日(土)東京・吉祥寺LIVE HOUSE CRESCENDO
出演:HARAKIRI ZOMBIE(沖縄)/ROSALIND(盛岡)/CRY/HEBI KATANA/CRUCIFIED/NEKOMESHI(222)

悪夢でも大丈夫
2025年7月5日(土)東京・東高円寺 二万電圧
出演:guisarme/abiuro/ATARAXIA/Filthy Hate/HEBI KATANA/Military Shadow

2025年8月24日(日)東京 ※TBA

Farewall To The Heroes Vol.5
〜HEBI KATANA 4th album ”Imperfection” Release & 35th Birthday Anniversary Party〜

2025年9月14日(日)東京・小岩 BUSHBASH
出演:HELL FREEZES OVER/AXE HELVETE(⁠広島)/HELLCHILD/TRANSGRESSOR/Sithter/HEBI KATANA + Guest and more...?

2025年10月4日(土)東京 ※TBA

2025年10月18日(土)北海道・札幌 ※TBA

2025年10月31日(金)東京 ※TBA

2025年11月16日(日)東京 ※TBA

2025年11月22日(土)岐阜 ※TBA

 


PROFILE: HEBI KATANA
2020年、東京で結成。同年末に1stアルバム『HEBI KATANA』をリリース。王道のドゥーム/ストーナーサウンドと暗黒かつメロウでヘヴィなハードロックサウンドが海外のWEB ZINEやレビューサイトなどマニアを中心に話題となり、〈Tokyo Samurai Doom〉として認知度を広げる。2022年にETERNAL ELYSIUM/STUDIO ZENの岡崎幸人をプロデュースに迎え、2ndアルバム『Impermanence - 無常』をリリース。イタリア盤もリリースされ、国内外で好評を博す。2023年末に3rdアルバム『III』をリリース。日本のみならずドイツ、ポーランド、UKからのリリースも実現した。また東名阪、岐阜、彦根、札幌、沖縄での公演も精力的に行い、〈Tokyo Doom Fest〉への出演、さらにイタリア、フランス、南米チリでの海外公演も実施し、世界規模での活動を展開。本作リリース後も国内外での積極的なライブ展開を予定しており、今後のさらなる飛躍が期待される。

■Member
Nobu: Guitars, Vocals
Laven: Bass, Vocals (backing)
T.T. Goblin : Drums

Official website: https://hebikatana.wordpress.com/
X: https://x.com/HebiKatana
Bandcamp: https://hebikatana.bandcamp.com/
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