〈Tokyo Samurai Doom〉の異名を持つHEBI KATANAが、4枚目となるアルバム『Imperfection』を完成させた。前作『III』リリース後には世界規模での活動を展開した彼らの最新作は、〈侘び寂び〉や〈不完全さの美〉といった日本独自の美学をコンセプトに掲げた、実験的で挑戦的な1枚に。純粋なドゥームメタルファンのみならず、グランジやハードロックなどのリスナーも魅了するサウンドを展開している。Nobu(ギター/ボーカル)、T.T. Goblin(ドラムス)、Laven(ベース/ボーカル)の3人に、楽曲制作の背景を聞いた。

コロナ禍に始動したドゥーム/ストーナーバンド
――まず、HEBI KATANAの成り立ちからうかがいます。バンドは2020年に結成されていますが、きっかけを教えていただけますか?
Nobu「以前からドゥーム系やヘヴィメタルのバンドをやっていたんですが、ずっと自分主導でバンドを始めたいと思っていて。ちょうどコロナ禍でなかなかライブができなかったので、自然と曲を作るのがメインになり、そこからスタートしました」
――最初からドゥームメタル方面のサウンドを意識していたんでしょうか?
Nobu「そうですね、ドゥーム/ストーナーとして聴いてもらえるよう意識していました」
――HEBI KATANAは王道のドゥーム/ストーナーだけではなく、特に初期の作品ではグランジなどの派生ジャンルの雰囲気もありますよね。
Nobu「そこは自分では意識していなくて。あくまでドゥームのカテゴリで活動する気持ちがあったんですけど、やっぱり自分が今まで聴いてきた要素が出てしまったのが実情ですね」
――ちなみに、どういったバンドを聴いていたのでしょうか?
Nobu「当時はペンタグラム、ジ・オブセストといったドゥーム系のレジェンドを聴き直していたんですが、自分としてはメルヴィンズや、ニルヴァーナの1stアルバム(『Bleach』)とのリンクを感じていたので、そのあたりとの組み合わせを模索していましたね」
――Lavenさん、T.T. Goblinさんはどういったバンドを?
Laven「ラッシュとかメタリカなどを聴いてましたが、出身がポートランドなのでグランジも大好きでした。カイアスを初めて聴いたときに〈すごいバンドだ!〉と思って、ドゥーム/ストーナーの方向にのめり込んでいきましたね」
T.T. Goblin「ピンク・フロイドの『狂気』とかザ・ポリス、コージー・パウエルが好きなのでレインボー、スラッシュメタルも少し。逆にドゥームはあまりかじってなかったので、ブラック・サバスのようなメジャーどころを聴いてました。あと、それこそラッシュみたいなプログレッシブロックが大好きです」
――おふたりは前作から加入しましたが、どういった経緯でバンドに入ったのでしょうか?
Laven「2020年に日本へ移ってから、こっちでドゥーム/ストーナーバンドを探していて。日本のシーンは大きくなかったのでバンドを探すのは大変でしたが、当時のHEBI KATANAのベーシストが辞めることになり、加入することになりました」
T.T. Goblin「2021年のクリスマスイブに、西荻窪のPit Barで初めてHEBI KATANAを観たんです。そのときに、ドゥームだけでなく70年代のハードロックの雰囲気も感じて、ヘヴィだけどボーカルはキャッチーでカッコいいなと。内心、〈自分ならこう叩くな〉と思いながら観てました。そこで(Nobuと)連絡先を交換したのがきっかけですね」