UNISON SQUARE GARDENから、ライブBlu-ray/DVD「UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour “CIDER ROAD” at TOKYO GARDEN THEATER 2021.08.24」が届けられた。2021年8月に開催されたツアー〈Revival Tour “CIDER ROAD”〉の東京ガーデンシアター公演を収録した本作。リバイバルツアーは〈“Spring Spring Spring”〉に続いて2度目となるが、メンバーにとって〈過去のセットリストを再現する〉ことの魅力は、どこにあるのだろうか?
UNISON SQUARE GARDEN 『UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour “CIDER ROAD” at TOKYO GARDEN THEATER 2021.08.24』 トイズファクトリー(2021)
「根本は〈ライブできればなんでもいいから会場を押さえよう〉〈といってもまだライブに来たくない客がいるだろうし、あんまり羨ましがられないようなツアー内容にしよう〉というところから思いついたリバイバルツアーなんですよね。なのでもっともらしい魅力は説明できないんですが、当時のライブに来てたヤツも、当時はまだユニゾンを知らなかったから見れなくて悔しい思いをしてるヤツも喜んでたという印象を受けるので、内輪ノリ的ではあるけど意義深いコンセプトだったなと思います。やってる側も、当時の自分たちを半笑いで振り返りながらできるのは楽しかったですね」(ベース:田淵智也/以下同)
2013年リリースの4thアルバム『CIDER ROAD』は、代表曲の一つである“リニアブルーを聴きながら”が収録されていること、初のトップ10入りということもあり、彼らのキャリアにとって大きなポイントとなった作品。このアルバムについて田淵は、「自分の中でちゃんとした曲の作り方がわかってきた時期」と振り返る。「自分で聴いて〈このバンド好きでよかったなー〉としみじみ思うくらい、自分の思ういいメロディーが揃っていて。〈これを聴いて、J-Popの人が土下座しに来ないかな〉と思っていた記憶があります(笑)」
本作を観ると、アルバム『CIDER ROAD』の楽曲を丁寧に伝える演奏力に加え、ステージでの躍動感もダイレクトに伝わってくる。「セットリストがかなり重厚で、当時の体力でもスレスレのところを狙って作っていたので、当然、今のミドルエイジの体力だと全然追いつかない(笑)」という田淵だが、実際のところは、かなりの手応えがあったようだ。
「今のバンドの状態で〈このセットリストを派手にやれるのか?〉というのは、いいハードルだったと思います。当時やってた、セットリストに何か余計なものを1個付け加える感じも久しぶりに思い出して。これはこれで大事なファクターだし、その後のツアーに反映することができたので、良いツアーでした」
さらに初回生産限定盤特典ディスクには、2013年4月のライブ映像を収録。田渕は「今の時代、商品で音楽作品を買うなんてよほどのモノ好きだろうから、そいつらが喜ぶんだったら裏側なんか全然見せます、みたいな感じ」と楽しそうに語る。
「マジメなことを言うと、モノを買って愛でる体験って、すごく意義のあることだと思うし、それで大きくなる音楽愛も必ずあると信じてる。だから、その体験をなるべく良いものにしてやりたいと、今の時代、特に思っています」
現在は全国ツアー〈Patrick Vegee〉の開催中。この2年間もUNISON SQUARE GARDENは、変化し続ける状況に対応しながら、〈普通にライブをやる〉という姿勢
を続けてきた。
「振り返ると〈あの時は楽しかったな〉が先行するんですよね。無観客ライブも楽しかったな、配信も楽しかったなとか。悩んだこと、めんどくさかったこともあるんですけど、その時に一番楽しいことを考えて提案してきただけで、それはその時にしか思いつかなかったことだから、振り返ると愛おしい思い出で。日々楽しんで生きていれば、世の混乱も困りごともいつかは過ぎ去っていく。自分たちの活動を通して、そのことを知って欲しかったんだろうなあと思っています」
「UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour “CIDER ROAD” at TOKYO
GARDEN THEATER 2021.08.24」は、〈楽しいこと〉を追求し続けた2021年のUNISON SQUARE GARDENを象徴する作品。そのスタンスは言うまでもなく、2022年も継続されるはずだ。
「〈Patrick Vegee〉のツアーを1月に終えるので、ようやく次へ進みます。とは言え、自分たちはただライブするだけの生き物なので(笑)、とにかく色んなところにライブをしにいけたらと思っています。ロックバンドのライブって最高だなというのを思い知らせる1年に、よりしていこうと思います。覚悟してちょ」