
磨き上げた歌メロとヴィンテージサウンドで間口はより広く
――コーラスやハモリについてお話しいただきましたが、過去作よりもさらに歌メロやハーモニー、ギターリフを引き立たせるようなアレンジになっていますよね。
Nobu「僕らはデスボイス自体ができないので自然とクリーンボーカルになるんですけど、〈より歌メロを磨きたい〉という意識は常にあって。ドゥームメタルというとまずリフがあって、歌メロは飾りとまではいかないですけど、ないがしろになってしまう部分もあると思うんですよ。でも最近だとゴーストとかアンクル・アシッド&ザ・デッドビーツのような、メロディの良いバンドがどんどん受け入れられているので、僕らも追求したかったんです。
リフとかもギターを使って作るより、散歩している時に歌でiPhoneに録音してから、家に帰ってどう弾くかを考えてますね」
――ドラムアプローチも変化を感じます。過去作ではツーバスを用いたアグレッシブなパートもありましたが、今作ではメロディに寄り添っている印象を受けました。
T.T. Goblin「たしかに今作はツーバスを入れてないですね。自分の中でのテーマがヴィンテージ風だったので、ツーバスを入れる要素がなかったんです。前作がハードロックだとしたら今作はロックのイメージで、聴かせるようにしていますね。前作はドラムが前面に出ていたので、〈ループして聴けるのかな〉という課題が個人的にあったんですが、今作ではドラムを引っ込ませていて。ナチュラルな感じでヴィンテージっぽくなりました。それも今作のウリかもしれないですね」
――たしかに、前作と対比するとサウンドにヴィンテージ感がありますね。
Nobu「前作と同じスタジオで録ったんですが、ギターやベースはセッティングをほぼ変えてなくて。……今思い出したんですけど、スタジオで〈どんな感じか、参考音源はありますか?〉って話になった時にペンタグラムの最新作(『Lightning In A Bottle』)は聴いてましたね」
アンクル・アシッドからラッシュ、ザ・ポリスまで多彩な影響源
――なるほど。他にも楽曲制作において参考にしたものや、創作に影響を与えた要素があれば聞かせていただけますか?
Nobu「アンクル・アシッド&ザ・デッドビーツをよく聴いてました。ああいう哀愁があって、メロディもリフも印象に残る楽曲というのはインスピレーションとしてありましたね」
T.T. Goblin「“Praise the Shadows - 陰翳礼賛”は、ザ・ポリスをイメージしました。ほぼ全曲ライブ感や疾走感があるんですけど、“Bon Nou - 煩悩”はレッド・ツェッペリンとか、UFOの“Lights Out”ぽさもあって。“Yume wa Kareno - 夢は枯野”は最後にラッシュっぽくなるんですけど、あれはもう意図的です(笑)。大好きなので。もう包み隠さず自分をさらけ出した感じがありますけど、好きなアーティストなので俺的には敬意を込めてやってます。〈これラッシュだろ〉ってツッコまれるかもしれないですが(笑)、それでいいと思うんですよ。わかる人にはわかる感じで。これが今現在のHEBI KATANAの姿ですね」
Laven「これまではNobuが楽曲の大部分を作っていて、リハーサルの時にはもう楽曲がほぼ完成していたんです。今作ではその構造の自由度が高かったので、たくさんのリハーサルを通してGoblinと私がそれぞれのアイデアを落とし込むことができました。だから、より楽曲を自分たち自身のもののように感じています。バンドとしても、サウンドとしても大きな進歩になりましたね。自分の個性も発揮できたし、このアルバムは〈3人でどんなサウンドを鳴らせるか〉を体現していると思います」