
穏やかな現在の裏にある過去の混沌を奏でた“Blood Spirit Rising - 諸行無常”
――“Blood Spirit Rising - 諸行無常”ではLavenさんがメインボーカルを担当していますね。
Laven「今までいろいろなバンドを経験してきましたが、自分がメインシンガーではないのはこのバンドが2つ目なんです。歌うことが好きなので、この曲を歌えて光栄ですね。
この曲はストーナー/デザートロックで、私たちがこういうサウンドもやれるということを示したかったんです。カイアスのオマージュも少し入ってますね。アレンジも前半は疾走感があって、後半にはメロディックなブレイクダウンが出てくるプログレッシブな構成です。
歌詞では、侘び寂びの美学を意識しました。歴史を振り返ると、現在は平和な時代ですが、かつては混沌とした時代がありました。でも今の我々には、その時代のことが本当に理解できているかはわからない。美しいものの裏側には恐ろしい出来事があったかもしれない、そういう二面性を反映させようとしました」
Nobu「歌詞はアルバム全体を通してのカラーがありまして。この曲はLavenが全部書いたんですけど、背景的な部分は伝えていて、それが松尾芭蕉の俳句〈夏草や兵どもが夢の跡〉なんです。彼が言ったように、今は穏やかな状態だけど過去には戦場になっていて、夢を見ながら死んでいった人たちもいただろう……という感じで、前半の激しいパートで戦、後半の静かなパートで魂が悲しみながら飛んでいく、諸行無常の雰囲気を表現しています」
Laven「ベースに関して言えば、前半部分ではストーナーサウンドですが、後半ではクラシックメタルに変化してます。個人的に(メタリカの)クリフ・バートンがベースヒーローで、“Orion”が大好きなんですが、あの曲のベースソロはギターのような音なので、もしかしたらベースだと知らない人も多いかもしれないですよね。ああいう、通常のリスナーがベースだと気づかないようなメロディックなソロを弾いてみたかったので、今回はうまくいきました。最後のパートではベースとギターでアイアン・メイデンのようなハーモニーもやっています」
T.T. Goblin「この曲はドラムソロもありますけど、出だしのフィルが好きなんですよね。自分の中ではあれはカテドラルの“Ride”とか、ザ・フーの“My Generation”が大人しくなった感じ(笑)」
Nobu「アレンジはこの曲が一番時間が掛かったかもしれないです。ジャム的に進めていった部分と、紙に書いて構築していった部分があって、スタジオではだいぶ苦戦しましたね(笑)。もうライブでは何度かやってるんですが、Lavenがメインボーカルでソロもあるから彼に視線が集まるし、ステージの構成にも厚みが出せていて。彼に歌ってもらって良かったです」
Laven「Nobuの休憩もできるしね(笑)」
松尾芭蕉をモチーフに実験へ挑んだ“Yume wa Kareno - 夢は枯野”
――(笑)。叙情的な“Yu gen - 幽玄”を経て、ラストの“Yume wa Kareno - 夢は枯野”は松尾芭蕉の辞世の句を題材にしていますね。
Nobu「コンセプトを考えるときに『おくのほそ道』を読んだりして、歌詞のモチーフを探しましたね。(松尾芭蕉は)かなり過去の人ですけど、言ってることは現代にも通じるところがあって。作品はずっと残るけど、自分は病気で死んでしまうかもとか……今は幸い何もないですけど、今後いつバンドができなくなるかはわからないですし、そういう自分の考えとリンクしましたね」
――アウトロも含めて、大団円のようなクライマックスが演出されています。
Nobu「そうですね。最初はクリーントーンで始まって、ドゥーミーになったり、最後はテンポが変わったりと目まぐるしくて。曲を作るときに聴き直したのがブラック・サバスの『血まみれの安息日』なんですけど、曲調が複雑で、Hメロくらいまである曲が多いんですよ。今までのHEBI KATANAはA→B→サビ……っていう曲が多かったので、自分たちの得意パターンをあえて壊してみようと」
T.T. Goblin「全体的に実験的であり挑戦的な感じですね。だってやったことないもん。練習していて〈あぁ、新しいな〉って思いましたね」
――ラインナップが安定したからこそ、挑戦ができたのでしょうか?
Nobu「それは絶対ありますね。お互いのことを知らないのにFメロまである曲をやっちゃうと、かなり大変だと思う(笑)」
――9月にはアルバムのリリースパーティーも予定されているそうですね。
T.T. Goblin「9月14日に小岩BUSHBASHで開催します。リリースパーティーというか、もうフェスですね(笑)。繋がりのある人や仲の良いバンド、ゆかりのあるゲストを呼んで演奏する予定です」