ブルーにこんがらがった若きヴォーカリストが見つけた仲間や聴き手のいる喜び。ファースト・アルバム『Act. 0』には音楽家として生きる覚悟が刻印されていて……

 16歳でアメリカに留学し、やがて歌の道を志すようになったレイニ。彼のファースト・アルバム『Act. 0』は、配信されている8曲に加えて新曲2曲、さらにボーナス・トラックとしてドラマ「愛の、がっこう。」主題歌でYuraを迎えた“Spiral”の英語ヴァージョンを収めている。何者でもない自分に打ちひしがれた心境を歌ったインディーズ・デビュー曲“無口な涙”から始まるアルバムは、天性の憂いを帯びたハスキーな歌声が映える曲を揃えた。Netflixドラマ「グラスハート」に出演するなど、俳優としても注目を浴びているレイニにインタヴューした。

レイニ 『Act. 0』 ソニー(2026)

 

まだ1にもなっていない

――ONE OK ROCKがきっかけで音楽にハマったそうですね。

「小学校のときに“Re:make”を聴いて刺激を受け、どハマりしました。ロック・バンドはシャウト系が多いイメージだったんですが、ONE OK ROCKさんはメロディーが綺麗で歌いたくなる。“Re:make”を収録したアルバム『残響リファレンス』のライヴがさいたまスーパーアリーナであったので観に行きましたし、学校でもずっとONE OK ROCKさんを歌ってました」

――最近よく聴いているのは?

「まずは自分のデモ(笑)。過去の自分の歌を聴いて歌い方を試行錯誤するのが好きなんですよね。あと藤井 風さんをよく聴いています。特に自分が観に行った日産スタジアムでのライヴ〈Fujii Kaze Stadium Live “Feelin’ Good”〉がすごく好きで、よく映像を観ていますね」

――藤井 風さんのどんなところに惹かれますか?

「自分にはない不思議な魅力がある方で、引き込まれます。ピアノも独創的ですし、R&Bやジャズなどいろいろな音楽の要素が感じられる。全部が好きです」

――ファースト・アルバム『Act. 0』にはインディーズでのデビューから約1年半の足跡が収められました。

「タイトルの『Act. 0』には〈僕はまだ1にもなっていない〉〈ここからがスタートだ〉という想いを込めています。アルバムのテーマカラーが成長過程を意味する青で、アートワークの一部にオレンジを使っているんですが、オレンジは青の補色でお互いを引き立て合う関係なんです。最後に収められた新曲“アルストロメリア”の歌詞に〈オレンジ色の花〉っていうワードが出てきますが、この曲を最後に置くことで良いスタートを切りたいっていう気持ちを込めました」

――“アルストロメリア”はレイニさん自身が作詞作曲したバラードです。

「もともとバンドの音楽が大好きということもあって、バンドで1曲作ってみたいと思って取り組みました。リファレンスは4ノン・ブロンズの“What’s Up?”やソウル・アサイラムの“Runaway Train”。僕がギターを弾きつつバンドのみんなでアレンジしていきました。アルストロメリアの花言葉は友情。それをふまえて旅立ちを歌った卒業ソングになってます」

――終盤のコーラスはバンドのメンバーの方たちですか?

「そうです。この曲の前に入ってる“@the studio”っていうインタールードではバンドのみんなとスタジオでコーラスの練習をしたり、僕が話したりしているやりとりがそのまま入ってます」

――インタールードは“@the studio”を含めて3曲収録されています。

「ディレクターと話したなかで出てきたアイデアでした。ONE OK ROCKさんのアルバムにもインタールードが入ってるものがあって、そのインタールードをライヴで使っていたりするので、〈のちのちそういう使い方もできるといいな〉と考え、入れてみました」

――3曲目として収録されたインタールード“Rainy day”に入っているのはレイニさんの口笛ですか?

「4曲目“ナイトサーカス”のイントロで吹いた口笛を連想してもらいたくて入れました」

――7曲目の“Call me”にはレイニさんの英語のセリフが入っています。

「ちょっと恥ずかしいですね(笑)。8曲目の“I’m in love”のトラックが後ろで流れているのと、6曲目の“Spiral”が男女の葛藤を描いている曲なので“Call me”はその2人が前向きに生きていくことを示すセリフを話してます」