Ⓒ岡本隆史
ジャンルを越えた唯一無二の音楽世界を堪能できるコンサート
現代の歌舞伎界を代表する舞台芸術家、坂東玉三郎が、フルオーケストラとともに名曲の数々を歌うコンサートが、2026年10月31日(土)、愛知県芸術劇場コンサートホールで開催される。指揮は栁澤寿男、演奏は中部フィルハーモニー交響楽団。さらに、長年の交流を重ねてきた春風亭小朝が〈音楽噺〉でステージをナビゲートする。
シャンソン、ジャズ、ミュージカル、アメリカンポップスなど、時代を超えて愛されてきた楽曲を通して描くテーマは〈愛・人生・夢〉。歌とオーケストラ、そして話芸が交わる舞台に、玉三郎はどのような思いを込めるのか。
「今秋、フルオーケストラと本格的に向き合い、名曲の数々を歌います。春風亭小朝師匠の語りに導かれながら、栁澤寿男さんの指揮、中部フィルハーモニー交響楽団の皆様と音楽を通して向き合います。歌とオーケストラ、そして語りが響き合うことで、どのような世界が生まれるのか。その一瞬を大切にしたいと思います」
Ⓒ岡本隆史
今回の選曲は玉三郎自身によるもの。ジャンルを越えて選ばれた楽曲には、人間の愛や人生、夢への思いが通底している。
「〈愛・人生・夢〉がテーマの楽曲となっていますが、それは歌の基本だと思います。反戦歌や、人生に対する悲しさ、そういった楽曲もあると思いますが、シャンソンやミュージカル、スタンダードは人間愛、人生観、そして夢などを歌っています」
玉三郎が大切にしているのは、音楽が聴き手の心に届けるものだ。
「音楽を聴いた後は、心を慰め、そしてまた明日から明るく素晴らしく生きていけると思えることが大事なのではないかなと思います」
約15年前、小さなコンサートから始まった玉三郎の歌の活動。歌舞伎公演に向けた発声の練習をきっかけに、歌そのものを舞台表現として届けるようになった。今年の春、すみだトリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団とのフルオーケストラ公演を実現。その後もオーケストラとバンドによる公演を開催し、今秋は中部フィルとの本格的なフルオーケストラ共演に臨む。
「同世代のお客様たち、あるいはオーケストラコンサートやミュージカルを聴き慣れていらっしゃる方々が喜んでくださって、〈これからも機会があったら続けていきたいな〉と思いました。今回、こうして愛知県芸術劇場でオーケストラコンサートを開かせていただけますことを、大変嬉しく思っております」
©Takashi Okamoto
歌舞伎をはじめ、映画やミュージカル、オペラなど、多彩な舞台芸術に携わってきた玉三郎にとって、音楽は作品と人間の感情を結びつける大切な要素でもある。
「歌舞伎音楽との関係性ということですが、文字の通り、歌舞伎とは、歌・舞・技なのです」
映画「禁じられた遊び」「アラビアのロレンス」「第三の男」「旅情」など、映画史を彩る音楽にも思いを寄せる玉三郎。ミュージカルの名曲を含め、今回のプログラムには、時代を超えて受け継がれてきた音楽への敬意が込められている。
「人間は畑仕事や子守歌など、生活の中から音楽を大切にしてきました。そういう意味で、人間と音楽は切っても切り離せないものだと思います」
©Takashi Okamoto
そして、公演に彩りを添える春風亭小朝との共演。二人の縁は20歳頃にさかのぼり、母のもとへ小朝が踊りの稽古に訪れたことがきっかけだったという。その後、「越路吹雪物語」で初共演し、「牡丹燈籠」では二人高座にも臨んだ。
「大変な勉強家でいらっしゃる小朝さんは、歌舞伎をよく観ていらっしゃいまして、〈いつか共演をしよう〉ということだったのですが、『越路吹雪物語』で初共演させていただきました。そして過去には『牡丹燈籠』にも二人高座で上がらせていただきました」
長年の交流を重ねてきた二人が、今回は音楽を軸に同じ舞台へ。玉三郎の歌声、フルオーケストラの響き、小朝の話芸が交わることで、名曲の背景や魅力にも新たな光が当たりそうだ。
今後の活動について、玉三郎は自ら舞台に立つだけでなく、演出やプロデュースを通して新たな劇場空間を創り出すことへの意欲を語る。
「大きな舞台作品には、脇役で演出したり、あるいはプロデュースをしたりして、皆様に夢のある劇場空間をお届けしたいというのが私の強い思いですし、私の将来の夢でもあるのです」
〈愛・人生・夢〉をテーマに、時代を超えて愛されてきた名曲を届ける10月31日のステージ。玉三郎の歌声、栁澤寿男の指揮、中部フィルハーモニー交響楽団の響き、そして春風亭小朝の語りが重なり合い、ジャンルを越えた芸術の出会いから、唯一無二の音楽世界が生まれる。
LIVE INFORMATION
坂東玉三郎 Premium Symphonic Concert with 春風亭小朝
2026年10月31日(土)愛知・名古屋 愛知県芸術劇場 コンサートホール
開場/開演:13:30/14:30
■演奏曲
・第一章:春風亭小朝「ショパンの音楽と坂東玉三郎の舞台」
演奏曲
「ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11 第1楽章」
・第二章
坂東玉三郎 with Orchestra
演奏曲
「スターダスト」
「枯葉」
「誰もいない海」
「バラ色の人生」
「ラスト・ダンスは私に」
「オーシャンゼリゼ」
「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーバー・ミー」
「センド・イン・ザ・クラウンズ」
「愛の賛歌」
「水に流して」
「星に願いを」
・最終章
坂東玉三郎 × 春風亭小朝「芸術談義」
■出演
坂東玉三郎、春風亭小朝
指揮:栁澤寿男
管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:加畑嶺
公演オフィシャルサイト:https://classics-festival.com/rc/performance/tamasaburo-bado-2026/