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ホットチョコレートのように心とからだに温かく染み込む。私もそんな弾き手になりたい

 2018年11歳でユーディ・メニューイン国際コンクールのジュニア部門で優勝し、大きな話題となったシンガポール出身のヴァイオリニスト、クロエ・チュア。以来、各地で活発な活動を展開し、Instagramのフォロワーは10万人を超える。録音も積極的に行い、10代半ばで挑んだモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集は圧倒的な存在感だ。

 「モーツァルトの音楽はひとことでいうと〈癒し〉の意味合いがあり、奏者にも聴き手にも歓びを与えてくれ、愛情に満ちています。初期の作品は子どもらしいナイーブさに富み、徐々に感情豊かになり、最後の曲は大胆なアプローチを必要とします。協奏曲の経緯を辿っていくだけで作曲家としての成長と進化が感じられ、それを表現したいと思っています。私はハリー・ポッターの小説やビジネス書、実用書なども好んで読みますが、そうした書物から想像力や独創性、知性を学び、演奏に反映させてさせています」

 モーツァルトの“ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲”では、2016年に16歳でメニューイン・コンクールのヴィオラ部門で優勝した中国のズーユー・フーと共演している。

 「ズーユーとは息がピタリと合い、楽しい録音となりました。私が使用している楽器はシンガポールのリン・コレクションより貸与された1753年ミラノ製ジョヴァンニ・バッティスタ・グァダニーニで、ラーセン〈イル・カノーネ・ゴールド〉の弦を使用しています。最初にこの楽器と出会ったときは、鳥肌が立つほどの衝撃で、すばらしい響きに感銘を受けました。数日で弾きこなすことができるようになり、いまは自分の会話の延長といえます」

CHLOE CHUA 『モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲集』 PentaTone Classics(2026)

 “バタフライ・ラヴァーズ&パガニーニ”のアルバムは、チェン・ガンとヘ・チェンハオ共作のヴァイオリン協奏曲とパガニーニの協奏曲組み合わせである。

 「これは東西の架け橋ともなる作品を収録したもので、その両面を楽しんでいただきたい」

CHLOE CHUA 『バタフライ・ラヴァーズ&パガニーニ』 PentaTone Classics(2024)

 ヴィヴァルディ“四季”とロカテルリの協奏曲では、弾き振りを披露しながら楽しんでいる。

 「“四季”は子どものころいつも叔父がラジオで聴かせてくれました。今回アンサンブルをリードしながら弾き振りするのはとても意義深い体験でした。今後はトリオやカルテットの演奏にも挑戦したい。オイストラフが大好きで、彼の音はホットチョコレートのように心とからだに温かく染み込む。私もそんなヴァイオリニストになりたいですね」

CHLOE CHUA, SINGAPORE SYMPHONY ORCHESTRA 『ヴィヴァルディ:「四季」&ロカテッリ:「和声の迷宮」』 PentaTone Classics(2023)