全国のタワーレコードのスタッフが、己の〈耳〉と〈直感〉だけを基準に世間で話題になる前のアーティストの作品をピックアップし、全店的なプッシュへと繋げる企画〈タワレコメン〉。これまで、相対性理論神聖かまってちゃんクリープハイプceroKANA-BOON、洋楽ではストライプスチャーチズR・シティといった現行シーンの最前線で活躍するアクトをいち早く発掘しており、現在は月1回のペースでオススメ・アイテムを紹介しています。Mikikiでは、そんなタワレコメンの選定会議に潜入し、作品の魅力を視聴コンテンツと共にお届け! 今回は11月度の洋楽編です!!

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タワーレコード本社で行われたタワレコメンの会議。今回もスタッフたちが〈これぞ!〉というオススメ作品を持ち寄り、タワレコメンの座を獲得すべく熱いプレゼンを繰り広げました。何百タイトルという新作のなかから候補作に挙がったのは……!?

 

いきなり複数店舗からピックアップされたのが、正体不明の新鋭ながらマドンナ安室奈美恵の新作に抜擢されたことでも話題を呼んだ、注目のインターネット・レーベルである、PCミュージックの中核トラックメイカー、ソフィーのシングル・コレクション『Product』。バブルガム・ベースとも呼ばれる彼のサウンドは先進的かつ遊び心に溢れ、推薦スタッフも〈中毒性抜群の未来形ポップ・ミュージック〉と絶賛していました。

 

続いて、USシアトル出身の4人組バンド、ビート・コネクションの3作目『Product 3』が登場。これまではチルウェイヴ的なサウンドで人気を博してきましたが、今作ではディスコ・ブギーの成分が増加し、ばっちり〈いま聴きたい感じ〉にアップデートされています。プレゼン担当スタッフも〈思いっきり夏な音ですが、来年の夏まで売れ続けます!〉と熱弁を振るっていました。

 

バンギンなブロステップで会議序盤を震わせたのが、スクリレックスコーンらを手掛けるプロデューサー、キル・ザ・ノイズの初作『Occult Classic』。映画「ミュータント・タートルズ」の主題歌“Shell Shocked”にもフィーチャーされ、EDMのネクスト・ブレイク候補と噂されていますが、テンション高めでバキバキなサウンドは、ロック・リスナーにも訴求力抜群でしょう。会議スタッフから〈ポスト・プロディジー筆頭〉との声も。 

 

推薦バイヤーが〈テイラー・スウィフトロードらも絶賛〉と力強く紹介したのは、アレッシア・カーラの初アルバム『Know It All』。デフ・ジャムと契約した19歳のシンガー・ソングライターで、すでにシングル“Here”がビルボードのトップ10にランクイン。ティーンの女の子ならずとも心に突き刺さる、甘苦いフィーリングの歌声が実に魅力的です。

 

続いてこちらはなんと14歳! インターネットに投稿したカヴァー動画が話題となり、名門アトランティックと契約したロンドン生まれのシンガー・ソングライター、ジャスミン・トンプソンの初EP『Adore』です。あどけない表情でEDMマナーのダンサブルな楽曲から透明感溢れるポップ・ナンバーまでを歌いこなす姿は、まさに次世代スター。推薦スタッフも〈いま大プッシュすべき存在!〉と声を強めました。

 

次は、カマシ・ワシントンの『The Epic』やフライング・ロータスの『You're Dead!』などに参加した、LAジャズ・シーンの重要プレイヤーである鍵盤奏者、ブランドン・コールマンの初リーダー作『Self Taught』。その参加作品同様の凝ったアンサンブルを展開しつつ、曲によってはスティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせるポップさもあって素敵です。推薦スタッフは〈ファンクという点ではGファンクとPファンク両方の要素がありつつ、新世代ジャズの流れにもある〉と、いまど真ん中の音楽としてアピールしていました。

 

続いては、ナッシュヴィルのブルース・シンガー、レット・スミスのミニ・アルバム『Tularosa』が登場。色気たっぷりの歌声とファズで歪んだギター・プレイがめちゃくちゃカッコイイ。まるで悪魔に魂を売ったかのようなロックンロールに、〈キース・リチャーズの新作超えかも……〉と会議も騒然。

 

後半に差し掛かった会議を端正な電子音で引き締めたのは、フローティング・ポインツの初作『Elaenia』。2000年代後半からフォー・テットらと並ぶレフトフィールド・テクノの才人として人気を博してきましたが、このアルバムではジャズの要素を強め、〈Jazz The New Chapter〉系リスナーからブライアン・イーノなどの現代音楽ファンにまでオススメのリスニング作となっています。会議メンバーからは〈良いヘッドフォンとの併売もできそう〉との声も。

 

そして、推薦スタッフが〈豪華ゲストに注目!〉とアピールしたのは、ヒップホップ界のスター候補であるタイ・ダラー・サインのデビュー・アルバム『Free TC』。ケンドリック・ラマ―フューチャーウィズ・カリファブランディなど錚々たる面々が参加していますが、そのなかでも耳に残る歌声で主役としての存在感を堂々と発揮しています。

 

ラストは、2014年の〈X- Factor〉でマーク・ロンソンの“Uptown Funk”をパフォーマンスし準優勝に輝いたUKの女性シンガー、フラー・イーストの初作『Love, Sax And Flashbacks』。イギリスでは同曲は彼女のカヴァーから火が点いたそうで、今作でも、ベース・ラインとホーン・セクションがご機嫌なファンク・ポップをキャッチーに歌いこなしています。 

ということで、今回も多彩な作品が並んだタワレコメン会議。多数決で選ばれたのは……!?