往年のフランスの大ピアニスト、ジャンヌ=マリー・ダルレ(1905~99)の未発表放送音源が二枚組で登場! 曲目は彼女の極めつけ、師匠筋にあたるサン=サーンス作品。しかも共演者がミュンシュ、シッパース、ベンツィ、ソリアーノ、マレシャルと、夢のような顔合わせである。何という豪華絢爛たるピアニズムだろう! 宝石箱をひっくり返したような色彩の横溢、軽やかなリズムによる素晴らしい指の走り、激しい情熱の高揚と果てしない想像力の拡がり……。これだけ激しく感情表現を行いながら全体として洗練された感覚と造形を示すのも凄い。印象派以前の19世紀フランス音楽の爛熟がここに刻み込まれている。