〈繋がり合って 支え合って かけがえのない手を取り合って/それは一つの花となって そしてまた繋がり合って〉。人と人の〈繋がり〉をストレートに歌ったEP表題曲の“手と手”は、物理的な距離を求められる〈いま〉だからこそ、言葉や思いのひとつひとつがより心に染みてくる。目の前がふぁっと晴れ渡っていくようなメロディーに、青く澄んで伸びのある千野(ボーカル)の声が映える。

ピアノの音とコーラスが怪しく光る“禁断の果実”に、もう結び直せない繋がりに胸が苦しくなる“赤いリップ”、カントリー調の明るく軽快なサウンドに〈別れ〉の温かな寂しさが滲む“君の友達”と、人と人の機微を繊細に紡いでいく。“背中合わせ”では、身近な存在だからこそ反発して、見えてない姿や言えない言葉があるのだと、改めて気づかせてくれる。不器用な温もりや歯がゆいばかりの日常を、人が愛おしいと思えるのは、いつも距離を置いてから。〈背中合わせ 合わせられる距離なら/向かい合えるはずだったなんて どんな辛い時だって〉。

触れ合える距離にいなくても、繋がり合えるのは、そこに思いがあるから。ハート型の花びらが5枚合わさって成す花があるように、メンバー5人で奏でる5曲がひとつの作品となって、私たちのもとへ思いとともに届いた。