結成15周年を迎えたGOOD ON THE REELによる4年ぶりのフル・アルバム『花歌標本』。〈標本〉のようにカタチあるものとして収録されている楽曲は、どれも歌詞とサウンドから情景が浮かび上がってくる。
〈今日この日を迎えたこと 今日も一緒にいれること/特別よりも大切な 当り前になれたこと〉。“交換日記”は、作家・住野よるとヴォーカル・千野によって交わされた、想像上の男女の交換日記を元に歌詞が書かれた一曲。切なさと温かさを合わせ持つ物語の余白に、つい思いを馳せてしまう。失恋したひとりの女性の視点で生活と心情が描かれた“虹”に、僕らに〈できる〉ことを強く言い切ってくれるロック・チューンの“そうだ僕らは”。EDM要素が落とし込まれた“標本”では、〈70億も望まない あなたにだけ歌おう〉と言ってくれる。聴き手の内側にそっと寄り添う音楽。聴かせてほしかった言葉が、心の中にピンで留めておきたい言葉が、ここにある。