モロッコのマラケシュから登場した注目すべき4人組、 バブ・ルブルーズ。グナワ・ミュージックの肝ともいえる伝統楽器のゲンブリ=シンティルを広く伝えるという目標を掲げて始動したという彼ら。このデビュー作ではカラフルでポップな味付けも功を奏し、痛快なまでにオープンな空気を生成することに成功、世界のコンテンポラリーな音楽シーンへと繋がる扉のノブをガッチリと掴んでいると言っていい。紅一点であるユスラのチャーミングな歌声が軽やかに躍動する“Gnawa Beat”ほかグルーヴィーなサイケ・グナワ・ロックが満載だが、トランシーなムードとお洒落でスタイリッシュな要素とのバランスも実にいい具合だし、刺激的な音世界と楽しく戯れることができる。四も五もなしの必聴作。

 


ゲンブリが、ベースと三味線の中間のような独特の乾いた音色でワンコード、ワンフレーズを無限ループ。聴く者の意識は朦朧となり、鉄のカスタネットと呼ばれるカルカバの打ち鳴らされる金属音で意識は白濁。さらに手拍子で身体と精神は分離されチャントにより昇天。このシンプルかつ強烈なトランス感に魅せられたアーティストは数知れず。ジミヘンやロバート・プラントはじめファラオ・サンダースからフローティング・ポインツまで枚挙にいとまがない。それが北アフリカを代表する音楽グナワ。本作はそのグナワをサイケ・ロック的にアップデートした新星バブ・ルブルーズの初作だ。女性ヴォーカルというのも珍しい。