第1次世界大戦下、敵陣を越え夜明けまでに最前線に伝令を届けなければならない兵士のお話を、あたかも映画全体がワンカットで撮られたかのように撮影/最新技術で編集した労作。監督サム・メンデスと撮影ロジャー・ディーキンスのコンビによる〈疑似ワンカット映像〉は、戦場の臨場感よりも、時間/空間の奇妙な人工美を現出させたことは興味深い。本作の素晴らしさは、最新技術をもって複雑に作られた映画が、最後は〈ただ走る〉という単純さに賭けている点だ。TVCM等で散々流れた主人公が手前に向かって走るあの映像が、本当に映画のクライマックスなのである! 胸熱をお約束したい。