作曲家のアラシュ・サファイアンとピアニストのセバスティアン・クナウアーは2016年のアルバム『Uberbach』でバッハのモチーフによる自在なピアノ協奏曲風変奏を創り出し、話題を呼んだ。今回ちょっと刺激的なタイトルのニューアルバムで2人が世に問うのは2020年が生誕250年のベートーヴェンを使った同様の試み。ピアノ・ソナタ第14番“月光”の第1楽章による幻想的な展開などスリリングであると同時に一種のヒーリング性も感じられる手の込んだ仕上がり。ラストトラックを交響曲第7番の第2楽章のアレンジにしているのがハイセンス。ベートーヴェンが好きというひとにこそ一聴をすすめたいアルバム。