岡本侑也は2017年エリザベート王妃国際音楽コンクールチェロ部門第2位の実績を持ち、クリスチャン・ツィメルマンの室内楽ツアーのチェリストに抜擢された俊英。今回のソロ・デビュー・アルバム(2021年2月、高崎芸術劇場にて収録)はJ. S. バッハ、ヒンデミット、デュティユー、ジョージ・クラムなどの無伴奏作品を並べた内容。洗練された発音を軸に解像度の高い強靭な音楽を奏でる。なかでも際立った名演は黛敏郎の “BUNRAKU”。たくさんの仕掛けを緻密に音化したうえで背後から〈和〉の香りをにじませ、彩り豊か。この曲は付属DVDで映像を見られる。疑いなく世界の第1線に立つ大器であり楽しみが膨らむ存在。