ボカロPとして活動を始め、yamaやAdoら歌い手をフィーチャーすることで自曲を広く届けてきたくじら。yama“春を告げる”に代表される楽曲提供の範囲も花譜やDISH//、SixTONES、にしな、青虫(アユニ・D)などさらに広がってクリエイターとして飛躍するなか、初めて自身の歌唱曲のみで固めたアルバムが登場した。繊細な歌い口は冒頭の“うそだらけ”など洗練されたコード感とリズムで揺らぐ簡潔な意匠がよく似合い、リリカルな“薄青とキッチン”やチルな“愛など”の穏やかさが心地良いものの、一方では剥き出しの熱唱を響かせる“呼吸”もあって魅力は一面的じゃない。maeshima soshiも編曲に助力してアンセミックに躍動する“水星”(すごい曲名!)にはAdoやyama、青虫らがコーラスで参加。