エレクトロニカ・ユニットmacaroomの木石岳によるポップスの歌詞を論じた音声詞学の入門書。木石岳といえば現代音楽の作曲法について語った「やさしい現代音楽の作曲法」の明晰な分析で知られるが、この新著ではそのクリアな記述で歌詞という難しい問題に挑む。本書では、ポップスの歌詞の読み取り方に、言語学、音声学、認知学、脳科学の手法を導入。音声と歌詞の関係を再解釈し驚くべき見取り図を提示してみせた。音象徴、錬金術、詩的言語、サブリミナル、摩擦音、共感覚、ブルーノート、オノマトペ……多彩な記号を縦横無尽に駆使し、歌詞の論じ方に音響論的転回を導入した。