ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン作品をフォルテピアノで弾いて新風を吹き込んだブラウティハムが、シューベルトに取り組む。最初は『即興曲』。音の粒立ちが良く立体的なサウンドで、悪魔的で揺れ動く感情にのたうちまわるような激しいシューベルトを聴くことができる。D899の第4曲やD935の第2曲では同じ音の連続打鍵を細やかな強弱をつけて激しく奏でる。D935の第3曲のロザムンデの主題が目眩く変奏が鮮やかにスピード感をもって奏でられる場面も心に残った。翻ってD899の第3曲の流麗な弱音の旋律美が清涼感を感じさせる。