ドビュッシーやラヴェルに劣らず(あるいは彼らとは少し違ったやり方で)我々にフランスの音をイメージさせる、こんな素敵な作品がフルートの世界に多数存在していたとは……一般的にゴベール(ゴーベール)の名はフルートのための小品集や編曲作品集の中でたまに目にする程度であったと思いますが、今回パリ管の首席奏者ヴァンサン・リュカが主要作品を纏めて録音したことで、その真価が明らかとなりました。あくまで涼しげに、洗練された美を追求した佳品の数々。途轍もないセンスをもったフランス最前線の名手のおかげで、今後は〈フランス音楽〉として新たな愛好者を獲得してゆくことでしょう。