スズキナオによる初の旅エッセイ集「家から5分の旅館に泊まる」が2024年7月25日(木)に刊行される。

話題作「深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」でデビューし、WEBサイト〈デイリーポータルZ〉への寄稿やチェアリングの普及活動など、今最も注目すべき書き手であるスズキナオ。今作は、OHTABOOKSTANDで彼が執筆してきた人気エッセイ連載〈自分を捨てる旅〉の書籍化。書籍の帯には、写真家の植本一子、作家の坂口恭平がコメントを寄せている。

執着を解き放ち、自分の輪郭を失くしながら歩く知らない町。人に出会い、話を聞く。言葉に出会い、考える。それでもこの世界をもう少し見てみたいと思う小さな旅の記録を綴った1冊となっている。前向きな言葉、大きな声に疲れているすべての人へ届けたい本だ。

今の疲れ果てた自分でも読めるような、むしろ、こんなときだから読みたくなるような本はないものだろうか……書棚をもっとよく探せば見つかったのだろうけど、そのときは体力もなく、まばゆく見える本ばかりが並ぶ書店をよろよろと出ての帰り道、暗くて静かな旅行記を書こう、と心に決めたのだった。大好きな『つげ義春日記』の、あの雰囲気が念頭にあった。(中略)旅先で出会う何かに心が癒されるとか、元気になるとか、そんな自分勝手なことを期待しているわけではなく、知らない土地を歩くことで、そのあいだだけは、自分自身のことを考えずに済むのかもしれない。ただ、見ているだけ、聞いているだけ、歩いているだけの存在になれるような気がするのだ。そしてその行き先は何も遠い地に限らない。近所の旅館やビジネスホテルにも、知らない世界が広がっている。
――「まえがき」より

 


RELEASE INFORMATION

スズキナオ 『家から5分の旅館に泊まる』 太田出版(2024)

発売日:2024年7月25日(木)
ISBN:978-4-7783-1960-1
価格:2,090円(税込)
四六判変型/340ページ

 


PROFILE: スズキナオ

1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。WEBサイト〈デイリーポータルZ〉を中心に執筆中。著書に「夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」、「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」、「思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる」、「「それから」の大阪」など。パリッコとの共著に「ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日」、「椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門」、「“よむ”お酒」、「酒の穴」などがある。