1962年に世界初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集を完成させた渡邉暁雄と日本フィルによる再録となったデジタル録音の1981年盤は、日本のシベリウス演奏史に更なるマイルストーンを刻んだ歴史に残るアルバムであることに疑いの余地はない。音質的にもコロムビアによるデジタル録音は当時既に良く練られており、従来のCDでもこのセッション録音の価値を十分に伝えてくれているが、今回のORTマスタリングを施し復刻された初のSACDハイブリッド盤では、より一層細部まで見通しが拡がることで音質面でも深度が増し、この重要かつ偉大な遺産をさらに堪能できるようになったのは嬉しい。