マルコム・マクラーレンが1994年に発表したアルバム『Paris』の30周年記念盤が、2枚組LPと配信でリリースされた。

ファッションデザイナーでありながら、ニューヨーク・ドールズやセックス・ピストルズの仕掛け人としても知られるマルコム・マクラーレン。1983年からは自身でも音楽活動を始め、ヒップホップやラウンジミュージック、クラシック音楽などをコラージュした刺激的な作品をリリースした。

1994年にリリースされた本作『Paris』は、青年時代のマルコムが抱いたパリへの想いを、ジャズとエリック・サティの楽曲をベースに90年代初めのダンスビートを融合させたサウンドで表現。共同プロデューサーにはシャーデーやスタイル・カウンシル、エヴリシング・バット・ザ・ガールなどを手がけたロビン・ミラーを迎えている。

また、ゲストとしてカトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・アルディ、ソニア・リキエル(ファッションデザイナー)、アミナなどフランスを代表するアーティストが参加。カトリーヌ・ドヌーヴのボーカルとメロディが印象的な“Paris Paris”、今年6月11日に死去したフランソワーズ・アルディをゲストボーカルに迎えた“Revenge Of The Flowers”、セルジュ・ゲンスブールが書き、ジェーン・バーキンが歌った“Je T’aime... Moi Non Plus”のカバーなど、マルコムのパリへの想いが溢れたアルバムとなっている。

『Paris』30周年記念盤(2枚組LP)展開写真

今回の30周年記念盤には、未発表曲などのボーナストラックが追加され、2枚組LPでは19曲、デジタル配信では23曲が収録されている。

なお、今回のリイシューを記念して“Paris Paris”と “Revenge Of The Flowers”のミュージックビデオも公開された。

豪華なゲスト達が参加しながらも、その特異なサウンドデザインによって問題作とも称されるマルコム・マクラーレンの『Paris』。発売から30年の時を経ても驚きと発見が尽きない同アルバムを、ぜひこの機会に手に取ってみてほしい。

 


RELEASE INFORMATION

MALCOLM McLAREN 『Paris』 Legacy(2024)

リリース日:2024年6月14日(金)
品番:1980280350-1
価格:オープンプライス
※2枚組LP、輸入盤
※国内盤のリリースは未定

TRACKLIST
2枚組LP
Disc 1
A1. Mon Dié Sénié
A2. Walking With Satie
A3. Père Lachaise
A4. Miles And Miles Of Miles Davis
A5. Jazz Is Paris

B1. Rue Dauphine
B2. Paris Paris(Malcolm McLaren & Catherine Deneuve)
B3. Je T’aime... Moi Non Plus
B4. Club Le Narcisse
B5. La Main Parisienne (Malcolm McLaren & Amina)

Disc 2
A1. Driving Into Delirium
A2. Revenge Of The Flowers (Malcolm McLaren & Françoise Hardy)
A3. In The Absence Of The Parisienne
A4. Anthem
A5. Who The Hell Is Sonia Rykiel?
B1. Paris Un *Instrumental
B2. Paris Deux *Instrumental
B3. Paris Trois *Instrumental
B4. Paris Quatre *Instrumental

デジタル配信
1. Mon Dié Sénié
2. Walking With Satie
3. Père Lachaise
4. Miles And Miles Of Miles Davis
5. Jazz Is Paris
6. Rue Dauphine
7. Paris Paris (Malcolm McLaren & Catherine Deneuve)
8. Je T’aime... Moi Non Plus
9. Club Le Narcisse
10. La Main Parisienne (Malcolm McLaren & Amina)
11. Driving Into Delirium
12. Revenge Of The Flowers (Malcolm McLaren & Françoise Hardy)
13. In The Absence Of The Parisienne
14. Anthem
15. Who The Hell Is Sonia Rykiel?
16. Paris Un *Instrumental
17. Paris Deux *Instrumental
18. Paris Trois *Instrumental
19. Paris Quatre *Instrumental
20. Paris Cinq *Instrumental
21. Paris Six *Instrumental
22. Paris Sept
23. Paris Lutece Paname

 


PROFILE: MALCOLM McLAREN
ロンドン生まれ。大学を卒業後、ファッションデザイナーとして活動し、1971年にファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドとともにロンドン・チェルシー地区のキングズ・ロード430番地に〈Let It Rock〉を開店した。この店は〈Too Fast To Live, Too Young To Die〉〈SEX〉〈Seditionaries〉〈Worlds End〉と名前を変え、パンクファッションの聖地として時代をリードした。

マルコムは1974年に渡米した際にロックバンドのニューヨーク・ドールズを気に入り、マネージャーを務める。この時、ニューヨークのアンダーグラウンドで盛り上がりつつあったパンクに触発され、自分の店に出入りしていたキッズを集めてバンドを作り、メンバーにセディショナリーズの服を着せ、そのバンドにセックス・ピストルズと名付けた。セックス・ピストルズは1976年にデビューし、退屈な商業的ロックへのアンチテーゼと、過激で反社会的なイメージ戦略で一大ブームを巻き起こした。その後も、アダム&ジ・アンツ、バウ・ワウ・ワウなどを仕掛け、話題を呼んだ。

1983年からはマルコム自身もアーティストとして音楽活動を開始。ヒップホップなど当時の先鋭的なサウンドを取り入れ、“Duck Rock”は後にエミネム、ミッシー・エリオット、ジャネット・ジャクソン、マドンナらもサンプリングした。また、『Waltz Darling』『Paris』といった作品では、クラシック音楽やオールドジャズと最先端のダンスミュージックの融合を図るなど実験的な試みを聴かせた。

2010年4月8日、癌により死去。