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TKサウンドと好相性を示し、ヒットを連発

多様な作家陣が作り上げた歌世界をしっかりと呑み込み、咀嚼力を上げながらガールポップシンガーとして豊かなキャリアを形成していく観月だが、それを語るうえで重要な1曲として、もっとも大きなセールスを記録した“TOO SHY SHY BOY!”(1992年)を挙げておかねば。4枚目となったこのシングルは、俗に言う〈3M〉の一角である宮沢りえのデビュー曲“ドリームラッシュ”(1989年)を手掛けていた小室哲哉の提供曲(彼はもうひとりの〈3M〉、牧瀬里穂のアルバム収録曲も書いている)。

それまでになかったようなデジタルビートが駆け巡るダンスチューンが届けられたわけだが、ここで彼女は天性のリズム感の良さを発揮して曲世界を掌握、実年齢よりもだいぶ高い女性の恋愛像をみごと描き切ってみせたのだった。結果的に、〈3M〉のなかでTKサウンドともっとも好相性を示せたのは彼女だったと言えるわけだが、“happy wake up!”(1994年)、“あなたの世代へくちづけを”(1995年)、“PROMISE to PROMISE”(1996年)といった小室 × 観月コンビのヒットシングルにはどれも時代を超えて聴き継がれる魅力が備わっていて、聴くたびに新鮮な耳触りを与えてくれる。

 

小西康陽、小泉今日子らと紡いだオリジナルアルバムも名曲揃い

最後に、いくつかのオリジナルアルバムについても触れておきたい。ファーストアルバム『ARISA』(1991年)は良質なアイドル作品となっており、“Cherry Cherry ♥ Strawberry”や“揺れてマイ・ハート”など古くからのファンにはけっして忘れられない名曲が詰まっている。

2作目『ARISA II SHAKE YOUR BODY FOR ME』(1992年)は全10曲中5曲を手掛けている小室哲哉のテイストが強くなった作品で、3作目『ALISA III LOOK』(1994年)は、小西康陽節大炸裂な“パリの恋人/トーキョーの恋人”“Friend and Lover”をはじめ、PIZZICATO FIVE色が濃く出た渋谷系チックなアルバムになっている。

個人的には、佳曲揃いの4作目『CUTE』(1995年)がおススメで、昨今90年代サウンドの再評価の機運が高まりつつあるが、今後注目を浴びて人気を集めることがあるのでは?などとひそかに期待していたりもする。また、観月にとってデビュー前からの友人でもある小泉今日子が作詞し、大橋好規(大橋トリオ)が作曲した名バラード“私は泣かない”を含む『SpeciAlisa』(2011年)、そしてNovelbrightやBEGINの島袋優らの提供曲が並ぶ『Ali30』(2022年)など近年の作品も聴きごたえたっぷりな内容となっている。できればこの先、なるべく間隔を空けずに作品を届けてほしいと願う次第だ。

 


BOOK INFORMATION

観月ありさ, 中村和孝 『観月ありさ写真集 『タイトル未定』』 講談社(2024)

発売日:2024年10月4日(金)
ISBN:9784065360385
価格:4,950円(税込)

女優・観月ありさが、およそ30年ぶりに紙の写真集を発売! 1993年に16歳の頃に出版した写真集「FOTO ARISA MIZUKI」からおよそ30年。シンガポールの地で、今も変わらぬ美しい姿が明らかになる。
写真撮影:中村和孝