テクノミュージック+90年代J-POPを折衷させた、ノスタルジックでフューチャリスティックな音を奏でる、マルチクリエイターのTnaka(てぃーなか)によるソロアイドルユニットmarble≠marble。近年は、音楽活動以外のTnaka個人名義での活動が活発化。その流れを受け、2023年10月に活動名義をmarble≠marbleから〈Tnaka〉に統一。憧れの篠原ともえのようなポップアイコンになるべく、今まで以上に精力的な動きを見せている。

そのTnakaが、改名後初となる1stアルバム『Tnaka IN THE HOUSE』(marble≠marble時代から数えると通算5枚目)を2024年8月21日にリリースした。今作で打ち出してきたのは、デトロイトテクノ+ポップスの〈デトロイト歌謡〉。

一聴して思わずニヤリとすること請け合いのオマージュタップリなサウンドと、イメージカラーの〈虹〉のごとく表情が変わる歌詞世界とTnakaのボーカルの見事な融合は、クラブ上級者もデトロイトテクノ未習の人も、思わず身体を動かしてしまうこと必至だ。

意欲作を完成させ新たな世界を切り開く彼女にインタビュー。はたしてTnakaとは何者なのか? デトロイト歌謡とは何なのか? これを読めば全てわかる……はず。

Tnaka 『Tnaka IN THE HOUSE』 MARQUEE≠HOUSE(2024)

 

marble≠marbleからTnakaへ名義を統一した理由

――前作の『89/99』(2021年)から、この3年の間で数々の変化が起こりましたね。まず最も大きな変化として、2023年10月15日のワンマンライブをもってmarble≠marbleから、〈Tnaka〉へ改名しました。この理由を改めてうかがえればと。

「私の活動は、marble≠marbleというバンドのメンバーとしてのTnakaから全てが始まっています。それが2019年ごろの上京をキッカケに、marble≠marbleの名前を引き継いだソロプロジェクトに移行したんです。そこから、DJをやったり、2022年に『Zipper』専属モデルオーディションでグランプリを受賞したりと、ライブ以外の個人活動が徐々に増えてきて。その個人活動で私を知った方が、歌の活動も追ってくれた時、〈Tnakaって本当はmarble≠marbleって名前なの? どういうこと?〉と、かなりの確率で混乱しちゃったんです。

私としても、確かにわかりにくいよなあ……と思っていて。活動の幅が広がる中、名義をTnakaに一まとめにすれば、初めて知った方にも〈Tnakaは、なんでも屋さん〉と、すぐ受け取ってもらえるんじゃない?って思い、改名することに決めました」

――とはいえ、長年親しんできた名義を変えるのは、寂しさがあったのでは?

「はい。けど、その寂しさを感じていたのは私だけだったんです。改名前最後のワンマンで〈今日がmarble≠marbleとして最後!〉と言ったとき、解散ライブだ!ぐらいの気持ちでシンミリしていたのに、お客さんは〈あ、そうなんだ。まあ、TnakaはTnakaだもんなあ〉ってスンナリ受け入れていて(笑)」

――(笑)。周囲からしたら機は熟していたと。

「はい。まあ確かにそうなんですよね、TnakaはずっとTnaka(笑)。昔も今も何一つ変わっていないんですよ。結果的に名前が変わって良かった、目指すポップアイコンにより近づけている気がして。私、篠原ともえさんをマジリスペクトしているんです」

――マジリスペクト! 公式プロフィールに〈令和のシノラー〉と書いていますよね。

「篠原さんはファッション、音楽、デザイナーと、様々な活動で自分流な表現をしているアーティストとしてリスペクトしています。そうしたら『Zipper』で、編集者さんが〈令和のシノラー〉というキャッチをつけてくださって。私も篠原さんみたいに、色んなことで輝ける唯一無二のポップアイコンになりたいんです」